モジョンさん主催のCinema 4D勉強会が名古屋で開催されました

Cinema 4D勉強会 名古屋 2018

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いまやC3Dには欠かせない存在であるモジョンさん(@mojon1)主催、Cinema 4Dの開発元であるMAXON Japanさん協賛、そしてC3D後援でCinema 4D勉強会が名古屋で開催されました。

イベントは予想を超える盛況っぷり。登壇者と参加者のCinema 4Dへの愛情が感じられるイベントとなりました。

MEMO

本記事はモジョンさんが執筆した内容を、ご本人の承諾を得て、C3Dいわい(@iwai)が加筆・改変などを行ってまとめました。

オープニングは主催のモジョンさんの挨拶とC3Dの紹介

モジョンさん、C3Dいわい

イベントは主催のモジョンさん(写真左)の挨拶からスタート。Twitterで事前アンケートをした結果(「名古屋は嫌だ」が多数)などを交え、笑いを取りながら場の空気をつかんでいきます。

7年前にも名古屋でCinema 4D勉強会が開催されていて、主催はC3Dとなっていましたが、実際にはモジョンさんが主体となっていました。当時も信じられないようなCinema 4Dの大御所が名古屋に集結しています。

モジョンさんが会場を温めたあとで、私からも簡単にC3Dの紹介をさせてもらいました。「C3Dについて」のページにもう少し詳しいことが書いてあるので、ご興味があればご覧ください。

MAXON Japan田村さんによるCinema 4D R20の新機能紹介

MAXON Japan 田村さんMAXON Japan

の田村誠さんからは、Cinema 4D R20で搭載された新機能「フィールド」と「ノードベースマテリアル」の紹介。

田村さんは、2018年8月3日に東京で行われた「MAXONユーザーミーティング2018」でも、R20で追加された機能について解説されていました。

今回は2つの機能だけを詳しく解説されており、R20を導入したばかりの方にはとても興味深い内容だったのではないでしょうか。

フィールドはそのタイプによってサブフィールドを持たせることができ、ディケイやディレイといった効果を組み合わせることで、アニメーションの具合さえもプロシージャルに可変させられます。

MEMO

「プロシージャル」とは、パラメータ調整が可能な状態で制作を進めることです。「パラメトリック」や「非破壊編集」などとも呼ばれます。

モジョンさんからの補足

( ゚д゚)ポカーンとなったあなた。大変申し訳ございませんでした。

実は参加登録時の事前アンケートで習熟度についてお聞かせいただいたにもかかわらず、結果をMAXON Japanさまに展開できておらず、半数の参加者には少し難易度が高いと感じられる内容だったかもしれません。

ここで少しだけ「フィールド」について補足解説をさせていただきます。フィールドはCinema 4Dの最新版(R20)に搭載された、他のCGソフトにはあまり見られないユニークな機能です。

この機能を使うことで、従来は難易度の高いプログラムを自作するか、エフェクトに特化したソフトでなければ作るのが困難だった表現が、比較的簡単に作れるようになっています。

フィールドは、一見エフェクト等の派手な表現に向いた機能に見えますが、Cinema 4Dに搭載される機能は「単一表現に特化せず、応用の効く機能」であることが多く、このフィールドも工夫次第で様々な活用が考えられる機能です。

今後フィールドを活用した表現テクニックがユーザーの手によってどんどん編み出されていくのではないかと思うと、とても楽しみな機能です。

もう一つ紹介された「ノードベースマテリアル」に関しては、3DCGソフトへの搭載としては非常に遅い部類になるかと思います。

複数の効果をもったノードを組み合わせ、プロシージャルな水滴表現を行うテクニックをご紹介いただきました。

実は田村さまからお聞きしたのですが、2011年に開催した「Cinema 4D勉強会名古屋」にもご出席いただいていたとのことで、今回このような形で再会し、ご登壇いただけた事を、とても嬉しく思います。

谷口宗樹さん|イベント用映像の制作におけるCinema 4Dの有用性

CS.2 谷口さん名古屋の映像・デザイン制作会社CS.2

の谷口さんは、東京でタイトルグラフィックスなどを専門に制作していた経験もあり、制作進行から撮影、編集、MAのキュー出しまでこなす、マルチな凄腕クリエイター。

谷口さんには、イベント映像におけるラインアニメーション(線形のオブジェクトが動く映像)の制作手法とその有用性について実演を交えて解説していただきました。

大型スクリーンやLEDパネルで空間そのものを演出するイベント映像では、モーショングラフィックスを用いた激しい映像だけでなく、ゆったりとしたループ映像もよく求められます。

このような映像において、抽象的なラインアニメーションは非常に使い勝手がよく、従来から多用される表現の1つです。

これらのアニメーションをMAYAで制作していたときは、ラインアニメーションの元となるパスを1つ1つ手描きしていて、作業が効率が悪く、修正も困難だったとのこと。

Cinema 4Dによって、膨大な数のラインアニメーションを効率的に作成できるようになり、修正も簡単になったそうです。

ベースとなるラインをMoGraphのトレーサー機能で描く方法、さらにMoSpline化したスプラインにエフェクターでランダムさを加える方法などを、実際に画面を見せながら解説してくれました。

様々な映像パターンを比較的簡単かつコントロールしやすい方法で作れるのは、Cinema 4Dの利点です。

勉強会で紹介された作例のサンプルデータを、次のページからダウンロードできます。ダウンロード期限は2018年10月6日(土)までなので、ご興味がある方はお早めに。

谷口さん Cinema 4D勉強会 サンプルファイル|ギガファイル便

terryさん|Cinema 4D初心者や学生向けの情報

terryさん

terryさんは、18歳の現役大学生。映像制作会社でアルバイトをしたり、「隔週焼きそばパン購買部(@KakuYaki)」というグループで定期的に作品発表を行うなど、精力的に活動しています。

今回の勉強会の告知映像やオープニングは隔週焼きそばパン購買部が制作してくれましたが、メインで制作を行ったのもterryさんです。

terryさんが紹介してくれたのは、初心者や学生のための情報。X-ParticlesCyclesOctaneRenderといったプラグインが、学生は無料、または大幅な割引価格で利用できるといった学生必見のお得な情報が満載。

質疑応答においても、18歳とは思えない落ち着きを見せていたのが印象的でした。

MEMO

以前は数万円だったOctaneRenderは、サブスクリプション契約が選べるようになり、また無料版の提供も予定されています。

Cumuloworksさん|一手間で情報量を増やすテクニック

Cumuloworksさん株式会社ナナメ

に所属し、若手クリエイターの中でも注目を集めているCumuloworksさん。MAXON Japanでも紹介されています。

今回はCinema 4Dの標準機能「ボロノイ」「PolyFX」「MoExtrude」「アトム」「ポリゴンリダクション」を用いて、簡単な手順で情報量を増やし、映像をリッチにする方法の紹介。

初心者でも真似できそうな簡単な操作によって、これといって特徴のないオブジェクトがあっという間に「いい感じ」になっていくところを実演してくれました。

Cumuloworksさんは20歳という若さながら、とてもわかりやすい解説で、初心者の方でも理解しやすかったのではないかと思います。

実演されていたのは、いずれもプロシージャルな制作手法で、微調整をしながらクオリティを追求していける手軽さと面白さが伝わってくるものでした。

Cinema 4Dは様々な機能を組み合わせることで広がる表現の柔軟さや、それを探求する楽しさがあります。

勉強会で使用されたスライドとサンプルデータは次のページからダウンロードが可能です。

https://twitter.com/cumuloworks/status/1044910197540511744

ライトニングトーク|個性豊かな3人のクリエイターによる発表

なかのめさん

なかのめイズム

勉強会の告知映像を作ってくれた「隔週焼きそばパン購買部」のメンバーである、なかのめさん(@nkkor2)からはデフォーマーを利用したアブストラクト(抽象表現)の制作方法の紹介。

Cinema 4Dにはオブジェクトの下の階層に配置して効果を発揮する「デフォーマー」という機能があります。

MEMO

デフォーマーには様々な種類があり、それらを用いることでオブジェクトに様々な効果を簡単に加えることができます。

目的を決めて制作を行う表現に比べ、アブストラクトはより自由な発想で、創作途中にできあがる偶然の産物なども活かして制作が行えるため、Cinema 4Dのデフォーマーの様なパラメトリックな機能は非常に有効です。

この様なコンピューターの機能を活かしたデザインはアブストラクトだけではなく、他のデザイン分野においても「ジェネレーティブ デザイン」と呼ばれ、最近のブームになっています。

なかのめさんイチオシのデフォーマーは兎にも角にもツイスト!ツイストの多重掛け!「これぞなかのめイズムの神髄!」といった話で、インパクト十分な登壇に会場が湧きました。

勉強会終了後、なかのめイズムを継承した「ツイスト」作品がSNSに多数アップされたので少しだけご紹介。

やりたCCさん

やりたCCさん

やりたCCさん(@yarita_cc)は、Cinema 4Dでよく使われるレンダリングサービス「RebusFarm」「ZYNC Render」の使用感についての説明。

RebusFarmはCinema 4Dの利用者が多いドイツのレンダリングサービスで、Cinema 4Dとの連携を容易にするプラグインによって、気軽に使えるのが特徴。

Rebus Renderfarm

RedShiftなど対応レンダラーや使用できるプラグインも多く、使い勝手がよいサービスです。反面、データのアップロード、ダウンロードが非常に遅く、レンダリングは一瞬で終わってもダウンロードに時間がかかることが多いといった課題があります。

ZYNCはGoogle Cloud Platformと呼ばれるGoogleが提供するクラウドサービスの1つで、RebusFarmと異なり回線速度が非常に速いのが特徴。

追記:ZYNCは、2021年6月にサービスを終了したようです。Zync Render will shut down June 1, 2021|Reddit

しかし使い勝手には多少癖があり、対応しているレンダラーやプラグインなども少ないため、用途に合わせた使い分けが必要といった感じです。

やりたCCさんは、使い勝手はよいが回線が遅いRebusFarmと、価格は高めだけど回線が速いZYNCを案件の予算や納期などに応じて使い分けているということでした。

レンダーファームに限ったことではありませんが、1つのサービスだけに依存してしまうと、そこが使えなかったときに困ります。リスク分散の観点からも、複数のサービスを使い分けるのは合理的といえますね。

MEMO

Ranch Computingは、Cinema 4Dユーザーに人気のGPUレンダラーOctane Renderに対応しています。

RANCH COMPUTING

次のサイトで世界中の様々レンダーファームを比較可能です。興味のある方はご覧ください。

Render farm catalog

黒井さん

黒井さん

黒井心さん(@kuroi_shin)は、Pythonスクリプトを用いて何ができるのか実例を交えて紹介してくれました。

Cinema 4Dではおなじみの「スプラインに沿う」タグにおいて、スプラインの長さが変わってもアニメーションタイミングを保持するスクリプトなど、非常に実用的なものが披露されました。

機能追加のためにプラグインを使用すると、外部レンダラーなどが対応しておらず、正しくレンダリングができないことがありますが、スクリプトであれば、大抵の場合はレンダリングも問題なく行えるとのことでした。

Cinema 4D R20からは、R19まで搭載されていたCOFFEEスクリプトが完全に廃止され、Pythonのみとなったため、これを機にPythonにチャレンジしてみてもよいかもしれませんね。

後日、黒井さんから資料を公開していただけるとのことなので、楽しみに待ちましょう!

モジョンさん|とっておきC4D Tips 40

モジョンさんは、初心者向けにCinema 4Dのおなじみテクニックや、中上級者でも意外と知られていないプチテクニックを時間の許す限り、紹介してくれました。

「とにかくたくさん紹介すれば、1つくらい知らないことがあるのでは?」という考えだったそうですが、登壇者の方達からも「これは知らなかった!」という驚きの声が多く聞かれるなど、とても役立つテクニックが満載。

モジョンさんは勉強会では伝えきれなかったものも含め、テクニックをまとめた資料を次のページで公開してくれています。C4Dユーザーは必見ですね。

定番から少しだけマニアックなモノまで… C4D TIPS 40|モジョン

MEMO

モジョンさんからのお知らせ。モジョンさんが勤務する名古屋の映像制作会社「ソアズロック」では、一緒にCG制作を行う仲間を募集中。興味がある方は、ご連絡ください。

ヤマダダイキさん|独自のキャラクターセットアップのノウハウ

ヤマダダイキさん

可愛らしいキャラクター表現に定評のあるヤマダダイキさん(@yamadadaikida)からは、自作のリグのご紹介。

一般的にキャラクターリグは自作のキャラクターに埋め込み、ウェイト設定など行うイメージがありますが、ヤマダさんのリグは逆の発想で、すでにリグが組まれた汎用モデルの中に自作のキャラクターを埋め込むという方法。

メッシュデフォーマを基礎とするテクニックで、操りたいキャラクターモデルには、ウェイトやジョイント(ボーン)設定を行うことなく、アニメーションさせられる仕組みです。

身体のバランスが極端に異なる場合でも柔軟に調整が行えたり、セットアップ後からでも非破壊で調整ができる様々な機能が盛り込まれており、非常に重いのではないか?と心配になりますが、自作でこんなに複雑なリグが組めたのかと驚きました。

ヤマダさんがこのリグを制作し始めたきっかけは、次のような理由からだとか。

  • 1人なので大人数で制作されたものには品質的にかなわない
  • 似たような表現をしていると没個性的になってしまう
  • 誰でもやれることをやっていたら仕事がなくなりそう

そして自分だけのオリジナルの表現と、工数を削減したシステムの構築が重要だと考え、キャラクターアニメーションの下準備としてリグ制作を始めたとのこと。

オリジナルのキャラクターというだけでなく、その構造から独自性を追求するストイックな姿勢に感銘を受けます。

途中、他の登壇者への質問でも「皆が似た様な表現になりがち」というご意見がありましたが、やはり一番の解決策は、ヤマダさんのように機能にとらわれず、オリジナルを追求してゆく姿勢なのではないかと感じました。

朝倉涼さん|フォトリアル表現+演出力で見せる映像制作

朝倉さん

最後の登壇者はCinema 4Dユーザーなら知らない人はいないぐらい有名なクリエイターであるSeventhgraphicsの朝倉涼さん(@seventhgraphics)。

商品プロダクトにおけるフォトリアル表現から美少女CGまで、幅広い分野で活躍される日本を代表するクリエイターです。

朝倉さんは、仕事で制作された事例を元にCinema 4Dをどのように使って表現したか実演を交えながら紹介してくれました。

例えば、MoGraphによる大量のオブジェクトを、減衰パラメーターのアニメーションでコントロールすることで商品が形成されてゆく表現を解説。

朝倉さんには「数が大きいほど偉い」というこだわりがあり、Cinema 4Dが処理できるかできないかのギリギリの数量にチャレンジすることで、情報量を増やしたとのこと。

数を増やすこと自体は簡単ですが、それによりシーンのコントロールが困難になり、トライアンドエラーも大変です。

趣味のCG制作であれば、さほど大きな問題にはなりませんが、限られた納期や修正対応までを考慮した実案件で行うには当然リスクが伴います。

朝倉さんのように豊富な経験を持つクリエイターだからこそ、ギリギリに挑戦できるわけですが、経験を積めば積むほど、過去の失敗を踏まえて危険な表現は避けたくなるもの。

そういったリスクの中でも常にギリギリを攻める姿勢があるからこそ、トップクリエイターでいられるのではないかと思います。

もう1つのテクニックは、キャラクターの肌の質感コントロール。透け感のある柔らかな肌の質感を表現するためのテクニックとして、SSS(サブサーフェススキャッタリング)を用いる方法は有名ですが、別の手法として、エミッション(自己発光)のパラメータを上げるテクニックが紹介されました。

自己発光の数値を上げるとコントラストが抑えられ、柔らかい表現になります。現在のフィジカルマテリアルが一般的になる以前は、2次元的な表現において一般的に用いられていた手法ですが、GI(グローバルイルミネーション)やフィジカルベースのマテリアルがベースとなった現在のCG制作においても、有効であると感じました。

イベント本編の後も大盛況!Cinema 4D愛にあふれたイベントとなりました

イベントの質疑応答では、Cinema 4D用のパソコンはWindowsとMacではどちらがよいのか、またレンダラーについても質問がありましたが、それらの話題についてはC3Dも記事を書いているのでご参考にしてください。

Twitterでは #c4d-nagoya のハッシュタグをつけて、多くの人が情報を発信されており、その内容を抜粋してトゥゲッターでまとめました。

名古屋Cinema 4D勉強会2018|togetter

まとめた後も、多くの人がハッシュタグをつけて作品を公開したりしています。Twitterでハッシュタグをクリックして、流れを追ってみても面白いですよ。

イベント本編の後は、名古屋らしく「世界の山ちゃん」で二次会が行われ、こちらも大いに盛り上がりました。

登壇者と参加者達のCinema 4Dへの愛情にあふれた素晴らしい勉強会でしたが、これはモジョンさんの情熱なくしては実現しえなかったものです。

主催のモジョンさん、協賛のMAXON Japanさん、登壇者と参加者の皆様には心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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