3DCG向けパソコンはWindowsとMacのどちらがよいのか

CG向けパソコンはWindowsかMacか

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3DCG向けパソコンとして、WindowsMacのどちらを選べばよいのかについて考えてみます。

2018年現在、CG向けパソコンはWindows一択

ワンコ先生

2018年現在、CG向けのパソコンは、ずばりWindowsじゃ!

いきなり結論!でもiMac Proというハイスペックなマシンも登場しましたよね。

菊千代

ワンコ先生

確かに高性能なMacもあるのう。しかし現状ではCG向けとしては、Windowsの方が有利なことが多いのじゃ。その理由を詳しく説明するぞ。

CG向けパソコンとしてWindowsを勧める4つの理由

ワンコ先生

Windowsの主な利点は次のとおりじゃ。順に詳しく見ていこうかのう。

  1. 自由にカスタマイズできる
  2. 初期導入コストを抑えられる
  3. NvidiaのGPUが利用できる
  4. Windowsでしか使えないソフトがある

自由にカスタマイズできる

Windows OSは自作パソコンにもインストール可能。希望に応じて自由に構成を決められます。

ショップで販売されているCG向けパソコンを購入すれば、自作する必要もありません。パソコン購入後も一部のパーツを自分で変更したり、ディスクやメモリを追加するなどアップデートも可能。

MacはOSの単体購入や、別のパソコンへのインストールはできません。

ハードウェアのカスタマイズも購入時に行うことが基本で、購入後に自身でカスタマイズすることはほぼ不可能です(Mac Proは、その他のMacと比べると少し自由度があります)。

MEMO
現在のMac Proの拡張性の低さはAppleも認めており、次期モデルでは改善することを明言しています。

参考 とうとう…完全新設計の「新型 Mac Pro」来年以降に登場GIZMODO

初期導入コストを抑えられる

MacにはiMac Proのようなハイスペックマシンもあり、AppleもCGソフトのベンチマークを掲載して、性能の高さをアピールしています。

しかしiMac Proは約56万円(税別)からと高額。Mac Proは約30万円(税別)で、iMac Proよりは安いもののアップデートが遅く、いまだにThunderbolt 2のまま。

Windowsなら、予算や必要スペックに応じて最適なマシン構成が選べるので、最初は10万円台の構成にしておいて、CPUやGPU(グラフィックボード)は、後日アップグレードということも可能です。

NvidiaのGPUが利用できる

昨今のCGソフトは、レンダリングなど、様々な処理にGPUパワーが活用できるようになっており、GPUはCGにとって欠かせない存在になっています。

多くのCGソフトがサポートしているGPUはNvidia製ですが、最新のMacに搭載されているのは、AMD製のGPUのみ。

バージョン10.13.4以上のmacOSで、Thunderbolt 3ポートを搭載したMacでは外付GPUが使えるようになりましたが、公式にサポートされているのはAMD製のGPUだけです。

参考 最新のmacOSで外付けGPUが公式サポート。ただしAMDのグラフィックスカードのみ使用可能engadget

MEMO

GPUコンピューティングの開発環境としては、Nvidiaが提供するCUDA(Compute Unified Device Archtecture)と、Appleが仕様を提案し、Khronosが規格を策定しているOpenCLなどがあります。

CUDAはNvidiaの独自規格ながら、利用者数やライブラリ群の整備状況も圧倒的に優勢で、NvidiaのGPUにも最適化されていることから、事実上の業界標準のような状況のようです。

参考 CUDAとOpenCLどっちがいいの?Qiita

参考 OpenCLとはニコニコ大百科(仮)

参考 OpenCLWikipedia

参考 第1回 「GPUコンピューティングおよびCUDAについて」日本GPUコンピューティングパートナーシップ

Windowsでしか使えないソフトがある

主なCGソフトのうち、3DS MAX、Quixel SUITEは、Windows版のみ提供されています。Mac版のみ提供されていて、Windows版はないというものはありません。

ほとんどのCGソフトはMac版もありますが、選択の幅を少しでも狭めたくない場合はWindowsの方がよいですね。

MEMO
Parallels Desktopのような仮想化ソフトや、Boot Campという機能を使って、MacにWindowsをインストールできます。しかしCGソフトのようにマシンスペックが必要になる用途であれば、無用のトラブルを避けるためにも最初からWindowsマシンにしておく方がよいでしょう。

MacではCG制作を行うべきではないのか

MacはCGに向かないのか

CGWORLDによるCGプロダクションへのアンケート結果は、「CG制作にはWindows」を裏付けるかのような状況になっていて、パソコンはWindows、GPUもNvidiaが圧倒的に多いです。

参考 2017年を前に業界標準のスペックを見定める CGプロダクション制作環境一斉調査CGWORLD

もはやCG制作にMacを使う理由はないのかと思えますが、必ずしもそんなことはありません。

GPUの活用を考えなければ、iMac ProなどCG制作でも利用可能なハイスペックマシンも用意されているし(高額ですが)、モデリングや静止画作成などの用途なら、下位グレードのMacでも十分な場合もあります。

またmacOS標準フォントのヒラギノやHelveticaは、商用利用可能です。WindowsでHelveticaを商用利用したい場合は、別途フォントを購入しなくてはいけません。

CG制作環境としてのMacは、現状では期待と不安が半々な状況

2018年現在のCG制作環境は、Windowsが圧倒的に優位であることはわかってもらえたと思います。

しかしAppleが開発中の新しいMac Proは、2018年以降に登場するとのことで、要注目。

ただAppleはCPUをIntelから独自のものに切り替えるのではないかという報道もあり、この点は不安なところ。

参考 Apple Plans to Use Its Own Chips in Macs From 2020, Replacing IntelBloomberg

かつてAppleは、IBM、モトローラと共同開発したPowerPCというCPUをMacに搭載していましたが、あるときこれらを一斉にIntel製CPUに変更。当時のMacユーザーは、この環境の激変によって大きな影響を受けました。

再び脱Intelという報道はAppleの公式発表ではありませんが、現在、MacでCG制作をしている人達にとっては見過ごせないお話といえそうです。

追記:2020年末に発売されたM1 MacBook Airを購入し、CGソフトの使用感を検証しましたが、ミッドレンジのWindowsデスクトップと同等の軽快さで驚きました。M1 Macはエントリーモデルなので、今後発売される上位モデルがどれほどの性能になるのかが楽しみです。