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2019年12月28日、「今年のCG・映像の振り返り」というテーマで、本年最後となるCG勉強会を開催。今回も東京、大阪、京都など、遠方から多くの皆様にご参加いただき、大いに盛り上がりました。
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午前中は恒例の全員自己紹介
ここ数年、C3Dの認知度が上がっていて、参加希望者も増えています。結果として、前回まで利用させてもらっていたコワーキングスペースでは収まりきらなくなってしまい、参加者の話し声が他の利用者にご迷惑をおかけしていました。
ということで、今回は前回までの会場から徒歩5分ぐらいのところにある名古屋国際センターの会議室を借りてC3D勉強会を開催。午前中は恒例の全員自己紹介からスタート。
プロとして様々な業界の一線で活躍する方達も多かったのですが、専門学校の学生さんも多数参加。学生さんにとっては、プロの皆さんと交流できるよい機会になったのではないかと思います。
午前中は自己紹介であっという間に時間が過ぎ、昼食を挟んでから午後の部を始めました。
企業の買収が相次いだ2019年のCG業界
午後は2019年に開催されたCG・映像系のイベントや、CG業界の目立ったニュースの振り返りから。私のメインソフトがCinema 4Dで、モーショングラフィックスへの興味・関心が強いことから、内容に少々偏りがあることはご容赦くださいまし。
大きめのイベントとしては、次のようなものがありました。
- CP+ (2.28 – 3.3)
- ゲームクリエイターズカンファレンス (3.30)
- After NAB Show(5.22 – 23)
- UNREAL FEST (WEST 4.20 / EAST 10.6)
- もーぐらふぇす in 広島 (8.3)
- CEDEC (9.4 – 6)
- Tokyo Game Show (9.14 – 15)
- CGWORLDクリエイティブカンファレンス (11.3)
- Inter BEE (11.13 – 15)
- MOTION PLUS DESIGN TOKYO (11.30)
- VIDEO COPILOT LIVE! JAPAN (12.19)
ファミ通ゲーム白書2019によると、2018年の世界のゲームコンテンツ市場は、前年比2割増で13兆円を超えており、さらなる発展が見込まれています。ゲーム産業が大きくなることで、CGクリエイターの需要も増しそうです。
CGとも密接に関係する映像系の機器やソフトウェア、サービスなどのイベントは毎年開催されており、この時期には様々なCGソフトやプラグインなどのセールが行われるので、覚えておくとよいと思います。
もーぐらふぇすは、モーショングラフィックスに特化したイベントですが、広島という地方都市で開催されたにも関わらず、業界で活躍するクリエイターの皆さんが登壇し、非常に多くの方達が参加。2020年も開催予定とのことで要注目。
私はMOTION PLUS DESIGN TOKYOに参加し、VIDEO COPILOT LIVE!は、ストリーミング中継を途中から拝見しましたが、いずれのイベントも10〜20代のクリエイターが登壇しており、若手の勢いを感じました。
CG系のニュースとしては、次のようなものがありました。
- AdobeがAllegorithmic買収(1月)
- Roper TechnologiesがFoundryを買収(3月)
- VizrtがNewTek買収(4月)
- MaxonがRedshift買収(4月)
- EpicがTwinmotion買収(5月)
- Oculus Quest 国内発売(5月)
- WWDCで主要CG・映像メーカーのMetal対応発表(6月)
- Cinema 4D グレードを一本化してサブスク提供開始(7月)
- Mayaと3DS MAXのIndie版リリース *日本は対象外(7月)
- Blender 2.8 正式リリース(7月)
- USD for MayaがGitHubで公開(8月)
- VIVE Cosmos 国内発売(10月)
- EPICがQuixelを買収、UE4でMegascansが無料利用可能に(11月)
- Hololens 2 出荷開始(11月)
- AdobeがOculus Medium買収(12月)
- MaxonがRed Giant買収(12月)
- Maya、ArnoldがRTXに対応(12月)
1月のAdobeによるAllegorithmic(Substanceの開発元)買収に始まり、2019年は年末のぎりぎりまで買収が多かった印象。中でもUE4のEpic Games、Cinema 4DのMaxonには勢いを感じました。
またAdobeは初心者でも簡単に3DCG制作ができるDimensionや、AR体験制作ツールAero、VRスカルプトツールのmediumなど、xR(VR、AR、MRなどの総称)に力を入れていることがわかります。mixamoやSubstanceも、今後よりxR系ソフトとの親和性が高くなるかもしれません。
Maya、ArnoldがnvidiaのRTXに対応するなど、レンダラーのRTX最適化がさらに進んでいます。CGにnvidiaのGPUが欠かせなくなっていることは間違いありませんが、AppleはAMD路線を貫き、新しいMac ProにはnvidiaのGPUは搭載できず。Apple好きのCGクリエイターからは悲鳴が聞こえてきそうです。
しかしながらWWDCでは、主要なCGソフト、映像ソフト、機器メーカーなどのMetal対応について発表があり、MacでGPUを使ったレンダリングもできるようになっていくことが期待されます。
Oculus Quest、VIVE cosmosなど、VR機器も高性能なものがワイヤレスで利用可能になり、進化が目覚ましいです。
他にはUSD(Universal Scene Description)が話題になりました。USDはPixarが開発したもので様々な役割・側面がありますが、これによって異なるソフトウェア間でデータ共有できたりするようです。
元Pixarの方が2017年のCedecで発表されたスライドがシェアされているので、詳しくはこちらをご覧ください。
ピクサー USD 入門 新たなコンテンツパイプラインを構築する from Takahito Tejima
イベントやニュースに関しては、私がわかる範囲で発表をしたあとで、参加者の皆さんからも情報をいただいて、本記事に盛り込みました。やはり多くの人からお話を聞くことで情報が充実しますね。ありがとうございます。
14年目に入ったC3Dの現状報告
今年は色々な節目を感じたので、年次報告書っぽいものを作ってみました。
2019年5月で満13年となったC3Dは、現在14年目に入っています。2019年は参加者が増え、年間述べ約95人が参加してくれました。(今回の勉強会で当日キャンセルが多かったので、実際には数名だけ少ないです)
C3Dウェブサイトへのアクセス数は、年間12万PVを超える見込み。2018年にサイトの構成を見直し、勉強会の報告以外にCG初心者向けの情報配信を始めたことが、このような結果につながりました。C3D参加者を始め、多くの方がTwitterなどでシェアしていただけていることも大きいです。
Twitterのフォロワーは、数日前にこの資料を作ったときからまた増えて、現在は760を超えています。2018年にモジョンさんが主催したCinema 4D勉強会のときにC3Dを紹介する機会をいただき、その後フォロワーが急増しました。
2017年と比べて、参加者数は倍増、アクセス数は24倍、Twitterのフォロワーは20倍です。フォロワー数はTwitterアナリティクスで確認しましたが、なんとなく不正確な気がするものの、短期間でフォロワーが増えていることは間違いありません。
C3Dが活性化しているのは、一重に参加者の皆さんのお陰です。モジョンさんは公私に渡って精力的に活動していて、MaxonJapan公式Twitterでも、その貢献が認められています。
モジョンさんの会社で様々なCG・映像案件に関わっている大学生のterryさん。まだ10代ながら、とても研究熱心です。
佐藤さんはFusion 360の公式イベントで登壇する同ソフトのスペシャリスト。これが本業ではないのだから驚きます。もちろん、本業での経験があるからこその技術力ですが。
やしろさんは全国誌の表紙絵をずっと手掛けていて、大学の講師など多くの人にCGを教える活動を行っています。
貴重な女性参加者(笑)の1人である、かえでさんはクリエイターとして様々な作品を作りつつ、名古屋のCGを盛り上げようと頑張っているパワフルな人。なんと名古屋でCG関連のセミナーやイベントを開催したい人には無償協力いただけるそうです。
前回の勉強会で福井さんにお越しいただけたのも、かえでさんのお陰でした。ありがとうございます。
そして、私もCGWORLD Entryでとりあげていただいたり、きゃりーぱみゅぱみゅさんのMV制作に関わらせていただくなど、色々と活動中です。
2020年からのC3Dの活動について
2019年の活動報告に続き、2020年からのC3Dについてもお伝えしました。
まず来年からはC3Dの会場を変更します。長年お世話になってきたベースキャンプ名古屋は使い勝手もよく、非営利の勉強会には無償で会場を使わせてもらえていましたが、参加者が増えて収まりきらなくなってきました。
そんなわけで今回C3D勉強会では初めて利用した名古屋国際センターを、来年以降も会場として利用。2020年は3、6、9、12月の年4回開催する予定です。
これまでC3D勉強会の参加者には、ベースキャンプ名古屋の使用料1,000円を支払っていただいていました。今後も1,000円という金額はそのままですが、名目はC3D勉強会の参加費となり、そちらで会場費を賄います。
今回は急遽、名古屋国際センターに会場を変更したため、参加費は当日現金でお支払いいただきましたが、今後はPeatixで事前決済という形を採用することにしました。これによって参加者と主催者双方が、受付の負担を軽減できます。
C3Dは誰かの話を聞きに来るセミナー形式ではない、全員参加型の勉強会ですが、過去何度か講師を招いてお話してもらったことがありました。今後はより積極的にこのような形式の勉強会も開催していきたいと思います。
いつどのような形でこのような勉強会を開催するかは未定なので、いまのところは将来的な構想です。
ウェブサイトの記事は今後さらに充実させていきますが、加えて何かYouTubeのような動画メディアでの配信も検討中。登壇者をお招きしたときにストリーミング中継などができたらよいかなとか色々と考えています。
元々はオフラインでCGのことを話せる仲間が欲しいという個人的な理由から始まったC3Dですが、全国から多くの人達が集う場になりました。
朝10時半から夕方5時半までという長丁場で、参加者同士の雑談時間も多いのがC3D勉強会の特徴ですが、多くの方から「居心地がいい」という声をいただいています。
このような集まりは歴史が長くなると常連が幅を効かせてしまい、初めて参加する人が入りにくかったりしがちですが、C3D勉強会では10〜50代と幅広い年齢層の人達が、分野を超えて交流。
今後もよい雰囲気を維持するために、運営者の目が行き届かなくなるような人数にまでは定員を増やさない方針です。「CGで幸せになる」を合言葉に、これからも皆が楽しめる場を提供できればいいなと考えています。
モジョンさんの発表後は雑談タイム、そして忘年会へ
大阪からお越しいただいた大上さんには、リアルかわいい牡蠣太郎の3Dプリントを見せていただいたり、驚くような実績をご紹介いただいたりと、刺激をいただきました。
モジョンさんにはデモリールを披露していただき、参加者からは様々な質問が寄せられ、最後は大雑談タイムとなってC3D勉強会の本編が終了。半数以上の方達が、そのまま忘年会にも参加し、大いに盛り上がりました。
来年からはC3D勉強会の活動に、ますます力を入れていきますので、引き続きよろしくお願いします。ご興味がある方はぜひ参加してくださいね!