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2018年12月23日(日)、「CGの勉強法&今年のCG・映像の振り返り」をテーマにC3D勉強会を開催。
ほぼ全員が忘年会にも参加し、大変賑やかな勉強会となりました。
Table of Contents
午前は全員自己紹介、その場で名刺を作る猛者も
今回の勉強会も初めての参加者が多く、全員が自己紹介を行いました。
過去の参加者で、もっとも若かったのは17〜18歳だったと思いますが、今回は中学生(15歳?)の参加もあり、最年少記録を更新。
若者から大人まで、CGや映像に興味のある人なら誰でも楽しめるのがC3D勉強会のよいところです(笑)
自己紹介の途中、若者達がプリンタの近くで何やら行っており、何事かと思ったら、その場で名刺を作っていました!
C3D勉強会は、いつもベースキャンプ名古屋というコワーキングスペースで開催しているので、そのような設備も整っているのです。
名刺が無いなら、作ってしまおう!という行動力は大変素晴らしいですね。
学生(中学生、高校生、大学生)をはじめ、建築、ゲーム、映像制作、プロダクトデザイン、2D・3Dのイラストレータなど、幅広い職業の皆様が集まりました。
CGの勉強法、基本的な考え方
CGの勉強で大切なことは何か、皆さんが行っていることを聞く前に、参考として勉強に関する基本的な考え方をお伝えしました。
C3D主催のいわいが考える勉強の基本は「目標の具体化と復習」です。
目標の具体化
CGに限らず、勉強するうえで大切なことは「目標の具体化」だと考えています。
足が速くなりたい場合、短距離か長距離か、目標タイムは何秒(何分)なのかなどを設定できれば、目標に対する達成率がより明確になり、やるべきことも見えてくるはずです。
例えば次のような場合、どうすればよいでしょうか。
- 【目標】フォトリアルCGがうまくなりたい
- 【課題】フォトリアルに見えないのはわかるが、どうすればよいかわからない
フォトリアルといっても、人と建築物では質感も形状も異なります。まずは何をフォトリアルに作りたいのか。
CGでありがちなのが、スケール設定を気にしないということ。車の長さが100メートルになっていも、CGの画面では気付かないことがあります。
スケールが現実からかけ離れていると、照明やカメラをを設定したときに不自然になることも少なくありません。
カメラの位置も重要です。現実感を出すためには、人の目線の高さよりも高すぎたり、低すぎたりすると、違和感が出ることもあります。
場面設定によって最適なカメラ位置は変わりますが、その設定を意識するかどうかは重要です。
フォトリアルCGが得意な人が近くにいるなら、自身の作品を見てもらって、改善点を教えてもらうのもよいでしょう。
復習すると学んだことが記憶に定着する
心理学者のヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」は、復習の重要性を伝えるときによく引用されます。
図の縦軸は記憶、横軸は覚えている時間を日数で示したものです。覚えたことは、復習しないと赤い線のように6日後にはほとんど忘れていますが、毎日復習をすると忘れにくくなるとのこと。
学んだそのときは「理解」はできても、1ヶ月後に同じことをやろうと思っても「記憶」がないなんてことはありがちです。
毎日復習は大変ですが、例えばチュートリアルを学んだ次の日に一度だけざっと見直すとか、要点だけをメモしてたまに見るなど、ちょっとした一手間で完全に忘れ去らないようにできると思います。
勉強の参考になる書籍
「東京防災」など、豊富な実績を持つデザイナーの太刀川英輔さんの著書、「デザインと革新」は、新しいことを勉強するときにおすすめの書籍です。
元々はデザイン畑ではなかった太刀川さんが、どのように学び、実績を重ねていったかについても書かれており、CGだけでなく、特にクリエイティブ職種の人達にとっては学びが多いのではないかと思います。
最近、同書籍の全文がnoteで公開されました。書籍の方が閲覧性はよいと思いますが、まずはどんな内容か知りたいという人はこちらをご覧になればよいかと。
その他、勉強するうえで大切と思われること
勉強するうえで、他には次のようなことは結構重要だと思います。
- 疑問を放置しない
- メモする
- 短期集中で学ぶ
- 勉強の進捗を管理する
- 現場で覚える(OJT=On-The-Job Training)
CGソフトは機能が多く、特に学び始めの頃は、操作画面の中にわからない用語も多いと感じるはずです。
触っているうちになんとなくわかることもありますが、よくわからない部分を放置し続けて直感だよりになってしまうと、意図した表現を行うために時間がかかることもあるかもしれません。
ヘルプや参考になるウェブサイトを見て、都度疑問を解消し、メモなどを取っていくと基礎力が固まっていくのではないかと思います。
勉強は短期間に集中して行うことがおすすめです。同じことを30日学ぶ場合、1年かけて毎月数日ずつ学ぶのと、1ヶ月連続で学ぶのとでは、後者の方が習熟度が高いはずです。
目標に対して、何をどこまで学んだかがわかるように、進捗を管理するのもよいでしょう。Studyplusのようなウェブサービス(アプリもあります)がおすすめです。
学生の場合は、可能であればCG系の会社でアルバイトをさせてもらうと学びも多いことでしょう。
会社は実践的な技術や知識を持っており、チュートリアルでは学べないことも身に付けられます。
皆さんのCG勉強方法
勉強会に参加した皆さんの勉強方法について聞いてみました。自分とは違う考えを聞くことができ、とても参考になりました。
SATOさん(フリーランスのプロダクトデザイナー)の勉強法
勉強法には合う、合わないがあるため、勉強は論理的でなければいけないという考えはない(回り道してもよい)というのが、SATOさんのお話。
確かに学び方に基本的な考えはあっても、万人にとって一番という王道はないかもしれません。
SATOさんの勉強法は次のとおりです。
- 動画チュートリアルは、日本語でも字幕を付ける(目からも情報が入る)
- 書籍などは必要なところだけ、つまんで読む(リファレンスでわからないところだけ見る)
- いちからチュートリアルを全部やるのでなく、やりたいことからやる
- ウェブ上の有益な情報は、Google Keepのようなウェブサービスでタグ付けしておく
- 現存する車などのデザインを形にすると、ごまかしが効かず、よい勉強になる
チュートリアルは最初から最後まできちんと見なければいけないと考える人もいるかもしれません。しかし、やりたいことがはっきりしていれば、必要な情報だけ見るために利用するというのは合理的ですね。
日本語チュートリアルでも字幕表示をするというのは、目から鱗でした。YouTubeやVimeoなどは、再生速度を変更できますが、さすがに2倍速は聞き取りが難しいです。でも字幕を表示させると2倍でも大丈夫だそうです。
チュートリアルは長いものも多いので、速度を上げて視聴すると時短にもなりますね。
やしろさん(フリーランスの3Dイラストレーター・講師)の勉強法
やしろさんの勉強法は次のとおりです。
- 有料チュートリアル(動画)や書籍を安いときに買う
- 電子書籍は存在を忘れてしまいがちなので紙の書籍がおすすめ
- 自分で学びたいことをテーマに勉強会を開く
- 美術系などCG以外の書籍からも学ぶ
電子書籍は目の前に見えないので、買ったまま忘れてしまうこともありそうです。紙の書籍は実体が積み上がっていくので、いい意味で自分に対するプレッシャーになりそう。
勉強会の開催は、実はとても合理的な方法です。学んだことを身につけるためにもっとも効果的なのが、人に教えることだといわれています。
きちんと理解していないことを誰かに伝えようと思うと、うまくいきません。これは実際に試してみればわかることです。
やしろさんは大学で講師をしていて、自身でVray勉強会も主催しており、教えることから多くを学んでいると思います。
次回のVray勉強会は、2019年1月26日開催予定です。
Vray勉強会 #5
美術系の書籍などは、やしろさんのようにキャラクターデザインを行う人には大切なことだと思います。
はむくん、ねずみさん(学生)
はむくん、ねずみさんの勉強法はつぎのとおりです。
はむくんの勉強法。
- wanoco4Dさんのチュートリアル
- Twitterで情報収集
ねずみさんの勉強法。
- すべて理屈から教えてくれるチュートリアル動画
- 行き詰まってきたら、Blender Marketで有料動画チュートリアルを購入
- チュートリアル購入時は、レビューで評価を確認して慎重に選ぶ
はむくん、ねずみさんは学生で、学んでいるのはBlenderです。
wanoco4Dさん(大学生)は、Blenderで作られたクオリティの高い作品をTwitterで投稿していて、チュートリアルも何本か公開されています。Blenderを学ぶ人には、とても参考になりそうですね。
Blender Marketは、Blenderのチュートリアルやプラグインなどを販売しているウェブサイト。
無料チュートリアルでは得られない情報が、有料チュートリアルから得られたりするそうです。
モジョンさん(CG・実写映像制作会社)
モジョンさんは、職業柄、様々な種類のCG・映像制作に対応する必要があるとのこと。そのために、PocketやGoogle Spreadsheetを活用し、学んだ情報をまとめているそうです。
さらっと書いてますが、モジョンさんのGoogle Spreadsheetはデータベース並に情報が集積されています(笑)
terryさん(学生)
terryさんはモジョンさんの会社でアルバイトをしているので、会社でどのような学びがあるかなども聞いてみました。
- 作品というより、色々触って遊んでみる
- 1つの機能を覚えたら応用してみる
- チュートリアルをきっちり見るのは時間がもったいないので欲しい情報だけ飛ばし見する
- 会社ではわからないことをすぐ教えてもらえる
terryさんの学び方はSATOさんに近い感じで、動画チュートリアルは最初から最後まで見るのは苦手で、必要なところだけ飛ばし見するとのこと。
また1つの機能を色々と試して、探ったりするそうです。機能の深掘りは、理解度を深めるためにとてもよいと思います。実際に仕事で役立ったこともあるそうです。
会社には経験豊富な人もいるので、わからないことをすぐに教えてもらえてよいですね。
mozさん(フリーランス、建築系)
mozさんの勉強法は次のとおりです。
- Unrealは今年からUdemyで勉強
- 練習量で覚える
- 練習で作ったものを仕事に活かす
- 応用が効く機能を優先的に勉強(例えばノードエディタは応用がきく)
Udemyは、やしろさんもおすすめしていますが、mozさんも活用しているそうです。私もおすすめ。
ノードエディタは様々なソフトに搭載されており、1つのソフトで覚えると、その知識が他のソフトでもそのまま応用できたりします。そういうものを優先的に覚えるというのは合理的ですね。
練習で作ったものを公開し、そこからお仕事につながることもあるとのことですが、これは私も経験があり、特にフリーランスは積極的に作品を公開するとよいと思います。
Emanonさん(フリーランスの2Dイラストレータ)
Emanonさんは、2Dのイラストレータ。3Dとは違う観点もあって新鮮でした。
- 業界の流行をおう
- 流行の絵が描けることをアピール
- 流行りの絵を集めて模写
- マンネリ対策として絵にちょっとした変化をつける
独自の画風で生計が立てられるイラストレータは一握りで、職業イラストレータは様々な絵柄を描きわけることも珍しくありません。
流行りの絵を模写して、対応できるようにしていくというのはプロならではと思いました。
Emanonさんは10年以上の経験をお持ちのベテラン。どんな職業でも慣れすぎて飽きてしまう部分はあると思います。マンネリ対策というのも重要ですね。
目的に応じて、自分に一番合う勉強法を見つけましょう
勉強方法はSATOさんのいうとおり、「合う、合わない」があります。10人中、9人が成果を出している勉強法でも、自分には合わないということもあるかもしれません。
何が自分に合うかは試してみなければわからないこともあると思います。今回のお話を参考に色々と試してみて、自分に一番合う方法を見つけてください。
勉強に役立つ様々なサービスのまとめ
皆さんに勉強方法を聞く中で、様々なサービスの紹介がありました。改めて、その内容をまとめておきます。
Pocketは、ネット上の情報をまとめておくオンラインブックマークサービス。「モデリング」「レンダリング」というようにタグ付けして分類しておくと、自分だけの情報保管庫として使えます。
Google Keep
Google Keepは、オンラインのメモ帳のようなサービス。私はあまり使ったことがなかったんですが、勉強会後に見てみたら、メモを貯めるには最適な感じがしました。
Google Spreadsheet
Google Spreadsheetは、Google版のエクセルのようなサービス。細かなことを書き込めます。
Studyplus
Studyplusは、勉強時間を記録できるサービス。週次の勉強時間を自動でメールしてくれたりします。
勉強は時間をかければよいわけではありませんが、記録しておくと、どれぐらい学んでいるかが可視化されて励みになるのではないでしょうか。
有料チュートリアル
C3Dでは、過去にCG・映像系の有料チュートリアルについて記事を書いています。有料チュートリアルを探すときの参考にしてください。
CG・映像が学べる国内外の有料オンラインチュートリアル(オンライン講座)
2018年のCG・映像ニュースを振り返る
2018年のCG・映像ニュースの振り返りは、次のような感じになりました。
- モジョンさん主催、Maxon Japan協賛、C3D後援のCinema 4D勉強会が大盛況
- Capture: 3D Scan Anythingがスマホアプリながら実用レベル
- Occulus GO発売
- バーチャルユーチューバーがさらに進化
- Nvidia 次世代GPUの販売開始
- Blenderは、2.8から利用者が増えそう
- MoGraph(Cinema 4D)などがアカデミー賞受賞
- ジョン・ラセターさんがPixar退社、エド・カットマルさんも引退を表明
- 日本を舞台にしたストップモーションアニメ、犬ヶ島が素晴らしかった
2018年、C3D的なトップニュースは、モジョンさん主催で名古屋で開催されたCinema 4D勉強会。全国から多くの人が参加し、大盛況でした。詳しくは過去記事をご覧ください。
モジョンさん主催のCinema 4D勉強会が名古屋で開催されました
そのCinema 4Dの代名詞的な機能になっているMoGraphの開発者がアカデミー賞受賞というニュースも話題に。
昨年末のC3D勉強会では、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)、VR、CGソフトのAI利用、GPUレンダラーなどが話題になっていました。
満席御礼!2017年最後のC3D勉強会&忘年会を開催しました
今年はVチューバー増加、Occulus GOによるVRの一般への広がり、Adobe SENSEIによる動画の自動マスクデモ、NVIDIAからはリアルタイムレイトレーシングを可能にする新しいGPUの登場など、それらが更に進化、実用化されてきたことが印象的。
これまでインターフェイス(UI)の独自性から、いまいちとっつきにくいという印象だったBlenderですが、最新版の2.8は大幅なUIの刷新が行われ、普及を予感させます。
ジョン・ラセターさんがPixar退社、エド・カットマルさんも2019年にピクサー及びウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの社長をやめて、映画業界から引退することを表明するという寂しいニュースもありました。
エドさんはサブディビジョンサーフェスの独自概念を考えたことが評価されて、本年のアカデミー賞で受賞。エドさんはRendermanの開発者でもあり、CGソフトの発展に多大な貢献をされています。
そのラセターさんとカットマルさんがフル3DCG映画をどのように作ったかがわかる「メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々」は、読み物として大変おもしろく、おすすめです。
2018年最後のC3D勉強会は、忘年会の規模も過去最大に
年末のC3D勉強会後は、いつもの忘年会。勉強会参加者の25人中、24人が忘年会にも参加し、過去最大規模になりました。
いつものお店、芋蔵 名駅店には、忘年会の2時間前に電話しましたが、奇跡的に予約がとれました!(笑)
いつもどおり美味しく、お手頃なお値段で忘年会も大いに盛り上がりました。
今年はC3D勉強会の認知度も向上し、今後の運営も色々と考えることが出てきました
C3D勉強会のウェブサイトでは、昨年までは勉強会の報告のみでしたが、今年は主に初心者向けの情報配信を始め、9月にはモジョンさん主催のCinema 4D勉強会を後援したこともあり、C3Dの認知度が一気に向上しました。
全国から参加者が集い、10代の参加者も増えつつあります。幸い参加者の皆さんはマナーがよく、これまでトラブルが起きたことはありません。
人数が増えすぎると参加者同士の交流も深まらず、主催である私(@iwai)の目が行き届かないところで問題が起きる可能性もあるので、これからも現在の規模を維持していく方針です。
新しい人が多かったり、初めての参加者同士だとお互いの顔と名前を覚えるのが大変なので、来年からはネームホルダーを用意しようかと思います。
まあしかしCGは何年やってても楽しいし、毎年新しい展開があって話題に事欠かないですね。
勉強会に参加してくれる人達が楽しんでいるのを見ると、やっててよかったな〜と思ったりもします。1人運営大変だけどな!w
来年はC3Dとして新しい試みも考えているので、お楽しみにしてくだいまし!