TouchDesignerとNotchをテーマに平成最後のC3D勉強会を開催しました

第40回 勉強会

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2019年4月28日(日)、TouchDesignerとNotchをテーマに平成最後のC3D勉強会を開催。

中部圏を中心に東京、静岡、石川など遠方から多くの方達が参加、スペシャルゲストとしてTouchDesignerの開発元、Derivativeのベン・ヴォイトさんにもお越しいただき大いに盛り上がりました。

午前中の全員自己紹介はGoogle Spreadsheetを使って効率化

今回も初参加の方がいらっしゃったので、全員自己紹介から開始。

もうすぐ満14年となるC3D勉強会ですが、このような集まりは長くなると常連が幅を利かせて、新しい参加者が肩身の狭いを思いをするという問題が起こりがちです。

思い切って知り合いのいない勉強会に参加したのに寂しい思いをして欲しくないので、時間はかかりますが1人でも初参加の人がいれば全員が自己紹介をしています。

今回はGoogle Spreadsheetを共有して各自に情報を書き込んでもらいましたが、ウェブサイトやSNSをすぐに紹介でき、自己紹介が効率化できました。おすすめです。

参加者が多く、受付渋滞で少し開始が遅れたこともあり、自己紹介だけで午前中が終わってしまいました。

午後はモジョンさんによるTouchDesignerの説明から

午後はTouchDesignerについての、モジョンさん(@mojon1)のプレゼンからスタート。

モジョンさん

モジョンさんはTouchDesignerを効果的に使った事例をツイートしてバズった経験の持ち主。

エアコンの方は、20,000RT以上、いいねも41,000を超えています。

TouchDesignerを使ってどうやってこのような仕掛けを作ったのか、バズったことにより何が起こったか、なども披露してくれました。

TouchDesignerとクリエイティブコーディング

モジョンさんのプレゼンの冒頭では「クリエイティブコーディング」について紹介されていました。Wikipediaでは次のように書かれています。

Creative coding is a type of computer programming in which the goal is to create something expressive instead of something functional. It is used to create live visuals and for VJing , as well as creating visual art and design, entertainment, art installations, projections and projection mapping , sound art, advertising, product prototypes , and much more.

Creative coding – Wikipedia

ざっくり訳すと「クリエイティブコーディングはコンピュータプログラムの一種で、機能的なものの代わりに表現を創ることを目的としたもの。使用される分野は、ライブ映像やVJ、他にもビジュアルアート、デザイン、エンターテイメント、アートインスタレーション、プロジェクション(投影される映像)、プロジェクションマッピング、音響アート、広告、製品のプロトタイプなど多岐に渡ります。」という感じでしょうか。

TouchDesignerは、まさにクリエイティブコーディングを行うためのソフトウェア。他にもNotch、Quartz Composer、VVVVなど、様々なソフトがあります。

クリエイティブコーディングを行うためのソフトウェアは、ノードベースだけとは限りません。Processing.orgopenFrameworksのようなコードベースのソフトもあります。

プログラム言語を使わないデザイナーのようなノンプログラマーが、このようなツールを使って様々な表現を行うことを指して、クリエイティブコーディングということもあるようです。

TouchDesignerとは

TouchDesignerは、Derivative社が開発・販売するソフト。試用版(機能制限あり、非商用)を同社のウェブサイトからダウンロード可能です。

TouchDesignerは「ノードベースのビジュアルプログラミング環境」などと説明されることが多いのですが、もう少し噛み砕くと「様々なハードウェアやソフトウェアと連携して、映像などを使った表現ができる(仕組みを作れる)ノードベースのソフトウェア」という感じになるでしょうか。

先に紹介したモジョンさんのエアコンの映像は、TouchDesignerとプロジェクター、投影するための映像などを組み合わせて仕組みを作っています。

このようにTouchDesignerは、プロジェクターや音響・照明機器、LIDAR(自動運転車などで使われるセンサー)など、様々なハードウェアとの組み合わせが可能です。

チームラボ / teamLabが全国各地で体験型の映像を公開したり、Rhizomatiks(ライゾマティクス)がPerfumeのライブなどで最先端の表現を見せたりしていますが、それらにもTouchDesignerが使われているものがあります。

こちらはTouchDesignerの利用したインスタレーションの事例。LEDなどと組み合わせています。

こちらは複数のプロジェクターを使った事例。

他にも非常に多くの事例がDerivativeの公式ブログに掲載されています。

TouchDesignerに採用されている「ノードベース」とは、次の画面のように様々な機能を持ったアイコン(ノード)を線でつなげるという操作方法を指し、様々なソフトウェアで採用されています。

ノードベース

複雑な操作を簡便化・効率化するのが、ノードベースの大きな特徴です。

例えば、一般的にプログラムを行うためにはプログラム言語を覚える必要があり、その習得には多くの時間を要しますが、ノードベースなら初心者でもすぐに利用可能。

またPhotoshopやAfterEffectsのようにレイヤーシステムを採用しているソフトはレイヤー数が増えると編集効率が悪くなりますが、ノードベースであれば、より少ない要素で複雑な処理が可能です。

VFXの世界で評価が高いNukeやHoudini、その他にも多くの3DCGソフトが何らかの形でノードベースを採用していることからも、その有用性がわかります。

TouchDesignerハンズオンと、Derivative プロダクトマネージャー、ベンさんのプレゼン

概要説明が終わった後、実際にTouchDesignerを使ってシンプルな仕組みを作ってみるハンズオンが行われました。

モジョンさんの説明に従って少しずつ仕組みを作っていきます。途中、うまくいかないときにベンさんもフォローしてくれました。

macOSのバグが原因と思われるエラーなどもありましたが、これは中の人がいなくてはわからなかったと思います。

ハンズオンの後はDerivative社のプロダクトマネージャーとして日本やカナダなどを行き来する、ベン・ヴォイトさん(@brvoigt)にお話をしてもらいました。

Derivativeのベンさん

TouchDesignerでは、複数のノード(TouchDesignerではオペレータと呼びます)を使って色々な仕組みを作れます。その一部を抜き出して、toxファイルとして書き出せる機能について紹介がありました。

書き出したtoxファイルはTouchDesigner に読み込んで再利用できます。それらを組み合わせて、複雑な仕組みがより短時間で作れそうです。

toxファイルはDerivative公式サイトのフォーラムGitHubQitaなどで共有されています。

Derivative公式サイトは2019年8月にリニューアル予定で、ユーザーがtoxファイルをアップロードできる機能が追加されるとのこと。今後は公式サイトに集約されていくかもしれませんね。

ベンさんにお願いして、Notchについても簡単に説明してもらいました。NotchはTouchDesignerとは別の会社が作っているソフトです。

一般的なCGソフトでは時間がかかるパーティクルや流体の表現が、ノードベースのNotchではリアルタイムに作れます。TouchDesignerには、近日中にNotchとの連携をより簡単にする機能も搭載予定。

魅力的なNotchですが、TouchDesignerで動かすためには有料版が必要。最も安価なLearning版は£99(永久ライセンス)ですが、1280×720の解像度制限があり、ウォーターマークが入ります。

そのような制限がないProfessional版はサブスクリプションのみで、年間£2,100とかなり高額。

一方、TouchDesignerには無料の試用版(解像度などの制限あり)があり、最上位のPro版でも$2,200(永久ライセンス)となっています。

ベンさんからはTouchDesigner入門書籍のプレゼントがあり、じゃんけんの勝者が手にしました。2019年4月現在、唯一のTouchDesigner日本語書籍ではないかと思います。

TouchDesignerの情報まとめ

モジョンさんが提供してくれたTouchDesignerに関する様々な情報です(ありがとうございます!)。TouchDesignerに興味を持った方は参考にしてください。

TouchDesigner開発元のDerivative公式サイト
https://www.derivative.ca/

2018年MUTEK.jpのイベントで行われた、TouchDesignerのワークショップを収録した12本の動画が日本語訳付きで公開されています。すべての動画にはサンプルファイルのリンクがあります。
MUTEK.jp 2018(日本語) – YouTube

TouchDesignerの説明が掲載されているサイト。ベンさんが友達と一緒に作ったという日本語版のPDFもダウンロードできます。
An Introduction To TouchDesigner

TDSW(TouchDesigner Study Weekend)の公式YouTubeチャンネル。TouchDesignerに関する様々な情報が公開されています。
TDSW – YouTube

Schoo(動画学習サービス)で公開されているTouchDesignerの有料チュートリアル。
https://schoo.jp/class/4755

その他にも、ネット上で多くの情報が公開されています。

TouchDesignerを知る機会を提供してくれたモジョンさん、ベンさんに改めて感謝!

今回のTouchDesignerというテーマの発案者はモジョンさんです。

仕事で数多くのプロジェクションマッピングを手がけるうちにResolumeなどの映像系ソフトに触れるようになり、従来の長い時間をかけて制作するプリレンダー系のCGとは異なるソフトの存在を知り、興味を持ったそうです。

そして東京で開催されたTDSWに参加したときにベン・ヴォイトさんと面識ができたことがきっかけで、今回のC3D勉強会にもスペシャルゲストとしてお越しいただけることになりました。

ベンさんからはかなり濃い内容のお話が聞けましたが、当日、私(@iwai)は通訳をしていたのでメモを取れず、本記事ではお伝えしきれていないところがあるのが悔やまれるところです。

次回、このような機会があるときは誰かにメモを取ってもらうようにします…

勉強会参加者の中には、私も含めてTouchDesignerについてほとんど知らなかったという人もいたと思いますが、CGや映像に興味を持っている皆さんなら、きっとこのような世界を知り、興味を持てたのではないでしょうか。

このような機会を提供してくれたモジョンさん、ベンさんに、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!