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2024年9月、CG用のWindowsパソコンをアップデートしました。今回は前編としてこれまでのパソコン選びの経緯やCG用Windowsパソコンをアップデートした理由、中編ではパーツ選び、後編では自作の模様についてお伝えします。
2024年版 CG用パソコンの選び方(中編)Table of Contents
2018年にGPUレンダラー使いたさからBTOでWindowsパソコンを導入
2018年、グラフィックボードのパワーを活用したGPUレンダラーが主流になりつつありましたが、当時はiMacを使っていて、Appleが脱NvidiaだったこともありGPUレンダラーを使いたければWindowsが必要でした。そしてCinema 4DでOctane Renderを使いたいためにWindowsデスクトップを導入することに。
Windowsはパーツのスペック、組み合わせや相性など考えるべき点が多くあり、詳しくもなかったので無難にBTOパソコンを導入することにしました。BTOはパーツ選びの自由度もありつつ、動作保証もあり、自身で組む手間もかかりません。自作に比べればコストは上がるもののあとからパーツを入れ替えたり、増設したりできるため最適な選択肢でした。
外部モニターの購入費も考えるとパソコンにかけられるのは20万円台前半が限界だったため次のような構成になりました。
- 価格: 約245,000円(税込)
- CPU: AMD Ryzen 7 2700X(3.7GHz 8コア 16スレッド)
- RAM: 32GB(16GB x2)
- SSD: M.2 500GB
- HDD: SATA3 1TB
- GPU: GTX1070ti 8G
- マザーボード: B350
- ケース: GALLERIA オリジナル
- 電源: 80 PLUS Titanium 800W
レンダリングはGPUが前提だったので、CPUはコア数ではなくシングルコアのスペックを重視。メモリは4スロットあったので後から増設する想定で16GB x2に。今後のパワーアップに対応するために電源は少し容量が大きく、グレードが高いものにしました。
3DCG・映像制作用パソコンの選び方BTOをベースに少しずつスペックアップ
BTO パソコンをベースに少しずつ増強を重ね、最終的に次のような構成になりました。
- RAM: 32GB(16GB x2)→ 64GB(16GB x4)
- M2. SSD(Cドライブ): 500GB → 1TB
- 2.5インチ SSD(キャッシュドライブ):500GB増設 (余りものを活用)
- HDD: 1TB → 4TB x2
- GPU: GTX1070ti 8G → RTX3070 8GB
- ケース: GALLERIA オリジナル → Fractal Design Define 7
RAMは32GBでも十分だったかもしれませんが、BTOを購入したショップのポイントがあったのでそちらを使って買い足し。Cドライブはソフトだけ入れる前提だったので500GBで十分と考えていましたが徐々に余裕が無くなって1TBの製品に交換。2.5インチSSDが余っていたのでキャッシュドライブとして活用。HDDは4TB x1をデータ置き場、同容量のもう1台をそちらのバックアップに。GPUは途中でRTX3070に変更。
ケースに関しては見た目、静音性、拡張性などを重視した結果、Fractal DesignのDefine 7に辿り着きました。上記のような構成でも、中にフィギュアを飾れるほど余裕があります。(実際に飾る人もいるようです)
Define 7は洗練された設計で申し分のないPCケースだったApple Silicon 登場で状況が一変、再びMacでCGしたい欲が高まる
Nvidiaのグラボが使えないMacでは3DCGは無理と思っていましたが、2020年11月、Appleが独自に開発したSoC(Apple Silicon)を搭載したM1 Macを発売し、状況が変わっていくことに。M1 Macは驚くほど高性能であることがデモやネットの情報から伝わってきました。実は前年、7年ぶりにMacBook Airを買い替えたばかりでしたが、わずか1年で手放してM1 MacBook Airへと乗り換えました。
Intel MacとM1 Macの性能差は大きく、前年に購入した最後のIntel MacBook Airではまともに動かなかったCGソフトもM1 MacBook Airでは快適に動き、4年経ったいまでも最新版のCinema 4Dがサクサク動きます。1年で買い替えるのはかなり痛かったけど、その価値は十分にありました。
Apple SiliconはCPU、メモリ、GPUなどのパーツを1枚のチップに統合することにより高速化を実現。従来のパソコンとは仕組みが異なるのでスペックを単純比較できませんが、例えば私のM1 Macのメモリは16GBながら、CGや映像編集でもちゃんと使えています。もちろん重い作業には向いていないものの、エントリークラスのパソコンでは到底無理だったことでもこなせます。
ユニファイドメモリはWindowsでいうところのRAM(メモリスロットに差すメインメモリ)とGPUのVRAMを合わせたものになっており、シミュレーションのプレビューではM1 MacでもRTX3070搭載マシンと同等に感じられることもあるぐらいです。
M1 MacBook Airは予想を超える高性能でCGソフトも快適に動くAppleがDCCツール開発各社に働きかけたこともあり、現在ではAdobeや多くのCG関連ソフトがちゃんと動くし、個人的にはCinema 4Dの開発元であるMaxonがAppleフレンドリーなので常に最速でMacに最適化してくれるのも嬉しいところ。
メインツールのCinema 4DはエントリーのM1 Macでもヘビーなものでなければ快適に動くし、元々Macを使っていたこともあり、再びCGをWindowsからMacに移行していきたいという気持ちが高まっていきました。少数派ながらMacメインでCG制作されている方もいますしね。
Apple Silicon Macのメリット・デメリット
Apple Silicon Macは最初にエントリーのM1が発表され、その後に上位版のM1 Max、M1 Ultraがリリース。AppleがデモでRTX3090超えたなんていうもんだから大いに期待してしまったんですが、残念ながら現実的には遠く及ばず。
そしてApple Siliconは登場から約4年が経過してメリット、デメリットが明らかになってきました。まずメリットですがApple Siliconは低発熱・低消費電力でエントリークラスのマシンスペックが非常に高いです。2024年現在、もっとも安価なMacであるM2 Mac miniなら、メモリを24GB、ストレージを1TBにしても約20万円。省スペースで同等価格のWindowsデスクトップと比べて性能的に上回る部分もあると思います(Windowsの構成次第ではありますが)。
一方、デメリットは、Apple Silicon Macは購入後に構成変更ができないことと、進化が早すぎること。またレンダリングでは上位モデルのNvidia GPUにはかないません。高額なハイスペック構成を選んだとしても進化が早く、あっという間に陳腐化します。2023年はじめにM2 MacBook Proが発売されましたが、なんと同じ年の年末にはM3 MacBook Proが登場(知り合いがガチギレしてましたよ…)。その7ヶ月後にはM4 搭載iPad発表とサイクルが早すぎ…
3DCGではGPU性能が重要ですが、Windowsは(電源など考慮すべき点はあるものの)グラフィックボードを載せ替えるだけで大幅な性能向上が可能。面倒だけど規格さえ合えばCPUも変えられるし、メモリやストレージの流用もできます。この違いは大きいですね。
MacをメインにしたいがWindowsも必要なので最小コストで小型化することに
性能やコストを考えると3DCGにはWindowsが最適という状況は変わっていません。でもMacを触っている方が幸せなので、幸せを追求したいのです(笑)
真面目な話、ハイエンドではWindowsに軍配が上がりますが、誰もがそこまでのスペックを必要としているわけではありませんし、少なくとも私はミドルスペックで十分。Macも第三世代のM3では3Dレンダリングが強化されているし、快適さは飛躍的に向上しています。構成は変えられないけど、Apple製品はリセールバリューが高いので、きれいに使って早めに手放せば実質レンタルのような感覚で使えたりはします。
再びMacをメインにしたいと考えたときに、ミドルケースに移したWindowsはもう少し小さくしたいと思い始め、足元の大きなWindowsマシンを机の上でも気にならない小さなサイズのケースに移すことにしました。ただしサブ機ということもあり、できるだけお金をかけないように。
ということで、中編となる次回は具体的なパーツ選びについて考えていきます。