RTX3070を選んだ理由、性能や体感速度

rtx3070

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WindowsマシンのグラフィックボードをRTX3070に変えました。なぜCGクリエイターに人気の3080や3090ではなく3070にしたのか、性能や体感はどんな感じなのかをお伝えします。

グラフィックボードをGTX1070tiからRTX3070に変更

今年(2021年)の元旦にRTX3070を注文し、これまで使ってきたGTX1070tiから変更しました。メインで使っているRedshiftはGPUレンダラーなので、単純にグラフィックボードの性能が上がればレンダリング時間が短くなるし、プレビューの高速化も期待できます。

またRTXシリーズは10bitディスプレイに対応。昨年、10bit表示対応モニターColorEdgeを導入したものの、その性能を活かしきれていない状態でした。RTXを導入することで表示が8bit(約1670万色)から10bit(約10億色)になります。

 

NVIDIAの新世代グラフィックボードの中でCGクリエイターに人気があるのは3080や3090という上位製品。RTX3070はエントリーモデルです。なぜそれらを選ばなかったかは、グラフィックボードを選ぶときの注意点を考えると見えてきます。

グラフィックボードを選ぶときの注意点

すでにWindowsパソコンを持っているなら、グラフィックボードはどれでもよいというわけではなく、次のような点に注意する必要があります。

  • パソコンのサイズ
  • CPUの性能
  • 電源
  • コストパフォーマンス

パソコンのサイズ

グラフィックボードの物理サイズは、年々大きくなっており、最新のRTX3000シリーズは、長辺が30cm以上のものも少なくありません。後で触れますが、私はこれで大失敗しました…

グラフィックボード購入の際は、パソコンのケース内に収まるのかどうかを必ず確認しましょう。あまりにぎりぎりのサイズだと、ケース内の空気の流れを妨げて冷却に影響が出る恐れもあるので要注意です。

ケースを買い換えるならFractal DesignのDefine 7がよさそう。工具無しでカバーも外せるし、配線の取り回しも良いです。GPU設置スペースも広いので物理サイズで悩むことはなさそう。

CPUの性能

GPUの性能を最大限に発揮するためには、他のパーツとのバランスが重要。例えば、軽自動車にF1のエンジンを搭載しても、その性能を活かしきれないことは車に詳しくない私でもわかります。

パソコンの場合もグラフィックボードだけハイエンドにしても、それに見合うCPU性能が無ければ、性能を発揮しきれません。1つの目安として「パスマーク(Passmark)」というものがあることがわかりました。

パスマーク – PCベンチマークと各種テストソフトウェア PassMark Home (Japanese) – PC benchmark and test software

あくまでも目安であり、こちらの結果がすべてではありませんが、参考にはなります(CPUの数値がGPUを上回っていれば良い)。

次のウェブサイトでは、CPUとGPUを選ぶと自動計算で双方のバランスを比較可能です。繰り返しますが、あくまで参考値なので、こちらで思うような結果が得られなかったからといって絶対に駄目ということではありません。

CPUとGPUのボトルネックチェッカー【2021年最新】 | BableTech (追記 2022年11月:アクセスできなくなったため、リンクを解除しました)

周りの自作勢は皆さん申し合わせたかのようにRyzen 9を選んでいます。私もいまのマシンがRyzen 7だし、次にCPUをアップグレードするならこれですね。

電源

グラフィックボードは高性能化にともなって電力消費量もあがっており、RTX3090のTDP(Thermal Design Power)は350Wになっています。レンダリングなどでGPUを全力で稼働させるとこれだけの電力が必要となり、他のパーツに供給する電力も考えると、大容量の電源ユニットが必要です。

パソコンを安定稼働させるためにも電源ユニットはできるだけ余裕があった方がよく、RTX3090あたりになると1000W以上が現実的ではないでしょうか。私はいつもドスパラの電源容量計算機を使っています。

電源容量計算機 | ドスパラ

電源ユニットは日本製のコンデンサーを使ったものが良いそうです。しかし1000W超えで高品質なものとなると価格も中々な感じになりますね。

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コストパフォーマンス

前世代の上位モデルRTX2080tiは、発売時10万円台前半。一方、新世代のエントリーモデルRTX3700は、VRAM容量こそ少ないものの性能はRTX2080tiを上回り、発売時価格は6〜7万円台から購入できました。

このような劇的な進化がいつまで続くのかはわかりませんが、わずか1年で前世代のハイエンドクラスが次世代のエントリークラスに抜かれてしまうというのは結構、衝撃的。

GPUレンダラーなどはVRAM容量に余裕があるとより大きなサイズのシーンが読み込めるので、その点も重要です。NVIDIAグラフィックボード(3090、3080、3070)のVRAM容量は次のとおり。

  • RTX3090 = 24GB(20万円台)
  • RTX3080 = 10GB(10万円台)
  • RTX3070 = 8GB (6〜7万円台〜)

価格と性能のバランスがよいのは、3080だと思います。

グラフィックボードの価格は常に変動しています

記事公開時の2021年2月時点だとグラボの供給が足りないためか、以前よりも全般的に価格が高くなっているようです。本記事は2020年12月頃の価格帯になっています。

なぜRTX3070を選んだのか

グラボ変更前の、私のWindowsパソコンのスペックは次のとおり。

  • CPU: Ryzen7 2700X(8コア)
  • メモリ: 64GB
  • GPU: GTX1070ti
  • 電源: 800W(80 PLUS Titanium)

予算的には3080でもよかったもののCPUと電源が性能不足。また3080以上のグラフィックボードは30cm超えのものが多く、パソコンケースもサイズが足りません。

3080を導入するために、CPU、電源、ケースを見合うものに変えるなら合計で20万円以上で(パーツ次第ですが)、費用的にはパーツの入れ替えというよりパソコンの買い換え。

CGの仕事がメインであれば買い替えても良かったのですが、まだそこまでの仕事量もなく、現在のマシンを可能な範囲で増強すれば良いと判断しました。現行マシンを売り、差額を足して新しいマシンを構築してもよいかなと一瞬思いましたが、その考えをかき消したのがM1 Macです。

先日もレビュー記事で書いたとおり、M1 Macの性能は予想を遥かに超えました。2019年モデルのMacBook Airでは、起動すらできないソフトもあり(相性もあったかもしれません)、CGソフトのデモを行うには心許ない性能でしたが、M1 MacBook Airは、ミドルスペックのWindowsマシンと同等の軽快さ。

いまここでお金を使うのではなく、頑張って2年後に発売されるであろうApple Silicon Mac Proのためにお金を貯めておこう考えたのでした。メインで使っているRedshiftもAppleの独自GPUにまもなく対応してくれそうなので、どれぐらいのパフォーマンスを発揮してくれるのかいまから楽しみです。

グラボは困ったときに神対応してくれたツクモで購入

RTXシリーズは物理サイズが大きいというのは知っていましたが、ミドルサイズのケースであれば収まるだろうと考えて、スペック重視でグラボを選び、注文直後に念のためにとケース内のサイズを測ったところ、30cm以上の製品は取り付けられないことが発覚。

RTX3070
最初はサイズオーバーのRTX3070を発注してしまった…

7万円以上という高額な製品を使うこと無く売らねばならないのかと落胆していたのですが、購入先のツクモに相談したところ未開封であれば全額返金との回答。100%こちらの落ち度だったのに。サポートの方の電話対応は素晴らしく、涙が出そうでした…

グラボはもちろんご恩返しとしてツクモで再発注。困ったときに丁寧な対応をしてもらうと、グッと心をつかまれますね。

RTX3070
再発注したRTX3070はサイズもばっちり(当たりまえ 笑)

RTX2000系が登場したとき、グラボが重すぎてマザーボードが破損したというニュースを目にしたことがあったので、念のためにサポートステイというグラボを支えるためのパーツを購入。しかし今回のRTX3070は長辺が27cmぐらいと前のグラボと同じサイズ感で重量も同じぐらいだったので、必須ではない感じでした。まあ保険としてあっても良いかなというぐらい。

RTX3070
RTX3070を支えるためのサポートステイも設置
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余談ですがツクモは税込2万円弱でパソコンの組立代行サービスを提供しています。Windowsマシンを思い通りの構成に組んでくれるショップは他にもありますが、それなりに手数料が必要。どんな構成のパソコンでも一定の手数料で組立代行してもらえるのはとてもありがたいですね。

PC組立代行サービス | TSUKUMO ツクモ

グラボの取り付け方とGPUレンダラーの不具合の原因

グラフィックボードを交換するのは初めてだったので事前に色々と調べました。昔はパーツ同士の相性問題がありましたが、最近は相性が悪くて動かないということはほとんどないようです。となると注意すべきは次のようなところ。

  • 物理サイズ(ケースに収まるかどうか)
  • 電源ユニット(供給可能電力とコネクター数)
  • ドライバー

物理サイズは先に書いたとおり、やらかしました(苦笑)。電源は800Wなのでもう少し余裕が欲しいところですが、まあ問題はなし。ドライバーは元のグラボ用のものを削除しておいた方がよいという情報もありましたが、そのままでも大丈夫でした(NVIDIAの専用ソフトの指示通りにボタンをポチポチ押していくだけでいけました)

取り付けはまったく問題ありませんでしたが、RTX3070設置後にOctane Renderがうまく動作しないという不具合が発生。調べたところ、プラグインフォルダの設置場所を間違っており、直したところ正常化しました。

RTX3070の性能、体感速度

元々が2世代前のGTX1070tiだったので、RTX3070にすることでレンダリング速度は約2.5倍と大幅に向上しました。

  • Cinema 4D版 Redshift Render でレンダリング
  • レンダリングサイズ = 1280 x 1280
  • GTX1070ti のレンダリング時間 = 3分34秒
  • RTX3070 のレンダリング時間 = 1分25秒
レンダリングテスト
RTX3070のレンダリング時間はGTX1070tiの約2.5倍

Redshlift のレンダープレビューもさらに高速化されるのではと期待しましたが、こちらは体感的に大差はなく、ちょっと残念。より重いシーンでないと性能差が体感できないのかもしれません。

RTX3070でも十分に高性能、コスパで選ぶなら3080

2世代前のグラボからの乗り換えだったため、エントリーモデルのRTX3070でも十分に性能の高さを感じました。今回は他のパーツとのバランスが悪かったので、3070にしましたが、いま新規にパソコンを組むならコスパが高い3080を選びます。

しかしグラボの高性能化にともなって電力消費が大きくなってきているのは気になるところ。一般家庭のコンセント1つで使える電力は1500Wなので、現状ではパソコンの電源を直差しすれば問題はないと思いますが、電源タップを使っていたりするとスペックが高いパソコンの場合はちょっと心配。

CGメインで長きに渡ってお仕事をされていたりすると、パソコンを複数台使っていることもありますし、電力消費が増え続けると厳しいな〜と。そう考えると圧倒的な高性能ながら、電力消費の少ないApple Silicon Macには期待せずにいられません。

Appleは2021年から2年かけて、すべてのMacをApple Siliconに置き換える予定です。例年通りならNVIDIAからは、RTX4000、5000という新世代のグラフィックボードが出てくると思うので、こちらがどのように進化していくのか要注目です。