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2024年9月に行ったCG用Windowsパソコンのアップデート。前編ではMacをメインにするためにWindowsマシンを最小コストで小型することを決めたことなどを書きましたが、中編の今回は実際のパーツ選びについてお伝えします。
2024年版 CG用パソコンの選び方(前編)Table of Contents
見た目と機能性を考え、PCケースにはASUS Prime AP201を選定
最初に考えたのがPCケース。できるだけ小さく、見た目もよいものにと考えて最初の候補に挙がったのがFractal DesignのMoodという製品。ファブリックを多用したスピーカーのような外観に惹かれましたがマザボや電源を変える必要があり、またレビューによると排熱性能が悪いらしく、価格も高いので見送りに。
続いて白羽の矢が立ったのはCool Masterの製品。デザインはあまり好みでなかったけど小さめのケースで電源と水冷クーラーのセット商品もあり、マザボ交換は必要ながらネットのレビューも高評価だったため、こちらのケースに決めかけていました。しかしデザインが好みなケースを見つけてしまったのです。
出会ってしまったのがASUS Prime AP201 MicroATX Caseです。価格.com プロダクトアワード2022銀賞。見た目も好みで質感も高そう。マザボやグラボを手掛けているASUS製というのも信頼感があり、また価格も約1万円とお安い。
すべての面がメッシュなので剛性は大丈夫かなとか、冷却性能がよい代わりに音はうるさいかなとか不安要素はあるものの、小さなケースに何もかも求めるのは無理があります。レビューによると意外にも剛性はあるとのことだし、処理性能を考えて静音性よりも冷却能力を重視。マザボは変えなければいけないものの、ATX電源がそのまま使えるのも評価ポイント。ということでケースはこちらに決定。
価格.comで条件に合うマザボを探してTUF GAMING B550M-PLUSを選択
ケースの次はマザーボード。MicroATXのことはまったく知りませんでしたが、CPUやメモリはATXマザーと同じ規格とわかって一安心。マザボのことはYouTubeで丁寧に解説されている方がいらっしゃって参考にしました。当たり前ですが価格の高さには意味があるんだな〜と深く理解。
動画を見た結果、できるだけよいマザボを選ぼうという気持ちに。ただPCケースに合うサイズで、手持ちのパーツも使えるという条件がありました。そんなマザボ選びには価格.comの検索機能が大活躍。かなり細かく条件設定ができ、簡単に絞り込みができます。今回は次のような条件を設定しました。
- メーカー: ASUS
- フォームファクター: Micro ATX
- CPUソケット: AM4
- メモリタイプ: DIMM DDR4
- メモリスロット: 4つ
- USB: USB Type-C対応
Ryzenは約2年前(2022年9月末頃)にAM5という新しいCPUソケット規格が登場。その前年には、より高速なDDR5メモリが発売。性能や今後の拡張性を考えればこれらを選ぶべきですが、今回は何よりもコストを重視しているため、旧世代のAM4とDDR4を選択。Intel CPUは知識も乏しく、Ryzenより高いようだったので外しました。
2024年9月現在は世代交代の時期で旧世代の方が製品の選択肢も多く、その世代の最終形態となる高性能なものがより安価に入手できるなどメリットも多くあります。
マザボメーカーなんて考えたこともなかったけど、ASUSには信頼のブランドというイメージがあり、ケースもASUSなので相性を考えて同じメーカーに。USB Type-C対応(背面ポート)を選んだら一気に製品が絞られました。その中からTUF GAMING B550M-PLUSを選択。結果的には安価だったけど悪くはなさそう。
現在のマザボと同じAM4なのでCPUを流用しようと思っていたんですが、ASUS公式ページの対応リストに含まれておらず、CPUも新たに購入することにしました。
TUF GAMING B550M-PLUS – CPUサポート
パソコンに使われている半導体は熱膨張と収縮を繰り返す厳しい環境で使用されています。Windowsマシンは利用頻度がそれほど高くなかったとはいえ6年近く使っており、CPUは流用できたと思うけど、このタイミングで入れ替えるべきかなと考えました。
CPUはコストとクロック数重視でRyzen 7 5700X
CPUはクロック数重視でRyzen 7 5700Xを選択。価格.comアワード2022 パソコンパーツ部門大賞。TDP65Wで発熱と消費電力も抑えられており(元々使っていたRyzen 7 2700Xは105W)、旧規格なので価格も発売時より落ち着いていましたが、AM4規格の最終フェーズの製品ということで機能的にはかなり極まっている感じ。「Precision Boost Overdrive(PBO)」という安全にオーバークロックできる機能が搭載されていることは購入後に知りました。
3DCGでマルチコアが重視されるのは特にレンダリングのときだと思います。CPUレンダリングを多用するならコア数も気にするべきですが、私の場合はGPUレンダラーのRedshiftがメインなのであまり関係ありません。レンダリング以外のタスクではシングルコアの性能(クロック数)が処理能力に関係することが多く、こちらが重要です。クロック数は3.4GHzですがPBOでオーバークロックすると最大で4.6GHzになります。
CPUクーラーは評価の高い虎徹マーク3
CPUクーラーは虎徹マーク3。価格.comアワード2023 プロダクト部門金賞。別に価格.com 受賞製品を選んでいるわけじゃないんですが、たまたまよいものばかり選んでいたようで選定眼が鋭いのかもしれません(笑)水冷も検討しましたが、簡易水冷は冷却水が減っても足せない、上位製品でもホースの劣化などによる水漏れリスクがある(最悪の場合は火災)、よりTDPの高い現在のCPUが純正のクーラーで問題が出ていないということなどを考えて空冷にしました。
PCケース用のファンはNZXT、増設ケーブルを自作中に買い足し
PCケースファンは安価な製品もあったけど、空冷にするからにはちゃんとしたメーカー品がよいと考えてNZXTの120Pを4つ購入。
今回ファンの数は合計で6つ(PCケースに取り付けられているファン、CPUクーラーのファン、NZXTのファンx4)でしたがマザボのポートは4つしかないので、1つのポートから2つのファンに接続させるための増設(分岐)ケーブルを2つ買い足しました。
ケースフロントのUSB-Cを使うための変換ケーブルを買ってみたけど…
次の写真の赤枠が新しいマザボ(TUF GAMING B550M-PLUS)のUSBソケット。
そして新しいPCケースのフロントには、USB-A x2とUSB-C x1があります。
ケースフロントのUSB-Aから出ているケーブルはマザボ右側の19ピンソケットに接続できました。一方、USB-Cポートのケーブル端子は特殊な形状で、マザボ側には対応したソケットがありません。しかし変換アダプターがあると知り、ろくに調べもせず購入。このアダプターはフロントUSB-Aと同じく、19ピンソケットへの変換アダプターでした。なので、CとAの二者択一になります。
ところが19ピンをマザボ下側のUSB2.0のソケットへの接続を可能にするアダプターを発見し、こちらも購入したんですが…
マザボ右側の19ピン端子はUSB3.2 Gen1で最大速度5Gbpsなのに対し、下側のUSB2.0は最大480Mbpsです。マザボ標準のI/Oパネル(ケース背面側)にはUSB3.2 Gen1、Gen2の端子が豊富に用意されているし、そもそもUSBポートを使うことも多くないので、アダプターは買ったけど結線するかどうか考え中。とりあえずマザボにはフロントのUSB-Aを接続したけど、USB-Cを使う機会が多いようなら変換アダプターで差し替えるかも。
メモリは流用できたけど、32GB x2に買い替え
現在のメモリは64GB(16GB x4)と容量的には十分ですが、今回のアップデートでまあまあ残念なミスに気付きました。BTOマシンに元々搭載されていたメモリは2666MHzだったのに対して、買い足したメモリは2133MHzだったのです。動作速度は基本的に遅い方に合わせられてしまいます(そりゃそうだ)。知識がなかったのでこういうことをしてしまったのですが、このミスに気付けたのもアップデートのお陰と前向きに考えています。
新しいマザボのメモリスロットは4レーンで、1スロットあたり32GB、合計128GBまで搭載可能。ただ有識者の皆さんに意見を求めたところ、After Effectsでバリバリ作業とかしなければ128GBまでは必要ないようでした。
なので容量的には64GBでよいかなと思いつつ、現在の2セット計4枚のメモリはメーカーも動作速度も異なるということで、32GB x2のメモリに入れ替えることに。メモリスロットは4レーンあるけどマザボはクアッドチャネルに対応していないので、合計64GBだとしても2レーンだけ使ってデュアルチャネルにした方が速度メリットがあるようだし、もしも128GBにしたくなったときのために2レーン空いていれば増設も簡単ということで。
メモリは信頼性が高そうなCrucialの製品を選択。データ転送速度も3200MHzということでいまよりも高速化するはず。体感できるほどではないかもしれませんが。
購入したPCパーツの合計金額
ご紹介したパーツの購入時価格と合計金額は次のとおり、約8.3万円。
- Prime AP201 MicroATX Case 10,891円
- Ryzen 7 5700X 26,198円
- 虎徹 MARK3 SCKTT-3000 3,400円
- TUF GAMING B550M-PLUS 13,778円
- NZXT 120P PCケースファン x4 7,480円
- ケースファン増設ケーブル x2 788円
- 変換アダプター x2種類 1,962円
- メモリ 32 x2 18,048円
- 合計 82,545円
次のパーツは流用しました。Macと違ってグラボやストレージの容量を自由に変えたり、流用できたりするのはWindowsのよいところですね。うらやましい…
- M2. SSD(1TBと500GB)
- 2.5インチSSD
- HDD 4TB x2
- RTX3070
- 800W 電源
- Windows OS(余らせていたものでBTOのものではないです)
特に高額なのはグラボですが、M.2 SSDや800WのPlutinum電源も安くはないので流用によってかなり費用を抑えられます。500GBのM2. SSDは、Cドライブ用を1TBに換装した際に外したままにしていましたがスロットが空いていたので取り付けました。2.5インチ SSDの代わりにキャッシュドライブにする予定。2.5インチSSDをどうするかは保留。
BTOマシンにインストールされていたWindows OSは、そのマシンでしか使っていけない特別なライセンスでした。実際には使えたりしますが、今回のアップデートでBTOのパーツはほぼ無くなるのでそちらはもう使わず、余らせていた通常のWindowsライセンスを使います。BTOのWindows OSは通常は流用できないと学びました。
不要となったCPU、メモリ、マザボ、PCケースは3万円ぐらいで売却の見込みなので、相殺するとパーツ代は実質5万円ちょいぐらい。費用を抑えてよい感じにアップデートできたかなと思います。
パーツの知識も付き、ミスにも気付けた、グラボは後日アップグレードするかも
PCパーツ選びに際してRyzen CPUやメモリの最新規格を知ることができました。ちょうど入れ替わりの時期であることがわかり、容量のことしか考えずに安易な増設をしてしまったメモリについて気付き、自作はしなくても最低限の知識を身に付けておくべきと痛感。
グラフィックボードはRTX4060ti にVRAM16GBの製品があることを知りました。VRAMが倍増できるのは大きな魅力。価格も7万円前後と入手しやすいのに加えてTDPが現在使っているRTX3070の220Wに対して、4060tiは160Wと抑えらています。その分、削られている部分もあるようですが、GPUレンダリングという用途ではVRAM容量が一番重要だと考えているので8GBから16GBに倍増できるのは大きな魅力です。まあこれは急ぎではないのでじっくり考えます。
ということで次回は購入したパーツで新たなWindowsマシンを自作していきます。
2024年版 CG用パソコンの選び方(後編)