機能や用途、価格などから考えるレンダラーの選び方

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レンダラーを選ぶときに注意すべき点について紹介します。

ワンコ先生

今回はレンダラーを選ぶときの注意点の紹介じゃ。安易な選び方をすると落とし穴にはまってしまうかもしれんぞ。
レンダラーは好きなものを選べばいいんじゃないですか?

菊千代

ワンコ先生

趣味で使うとしても、好きだからという理由だけで選ぶと失敗するかもしれんぞ。どのようにレンダラーを選べばよいのか、考えてみよう。

表現したいものは写実的か、非写実的か

Photoreal or Non Photoreal

レンダリングの方向性は、大きく分けて「写実的な表現(フォトリアル)」と「非写実的な表現(ノンフォトリアル)」があります。

レンダラーにはノンフォトリアルな表現ができるものもあれば、苦手なものもあるので注意しましょう。

MEMO

ノンフォトリアルな表現向けの「Pencil+」というプラグインがあり、3DS Max版は同ソフトのスキャンラインレンダラーで動作します。Pencil+はレンダラーではなく、プラグインです。


参考
Pencil+ for 3DS MaxPSOFT

レンダラーの機能がCGソフトに対応しているか

Fur

統合型CGソフトは、モデリング以外に、ヘア、ファー、フォグなど様々な機能を搭載していますが、外部レンダラーは必ずしもCGソフトの全機能に対応しているというわけではありません。

例えば外部レンダラーがファーに対応しておらず、レンダリングできないということもあります。

また外部レンダラーはスタンドアローン以外にCGソフトに組み込んで利用するための統合プラグインを提供していることが一般的ですが、このプラグインの完成度によって、レンダラーから引き出せる性能や機能に差があることを覚えておきましょう。

3DS MaxであればV-Ray、Cinema 4DならOctane Renderというように、CGソフトによって人気のプラグインが異なるのは、レンダラーそのものの性能だけでなく、プラグインの完成度の高さによるところも大きいと考えられます。

レンダリングにどの程度の時間がかかるか

Render time

品質が高くても、レンダリング時間が膨大なら現実的とはいえません。

CG制作会社は社内外のレンダーファームを利用することもありますが、制作期限を考えれば、より短時間でレンダリングできることが望まれます。

レンダリング時間は利用する環境(マシン性能など)やシーンの設定によっても異なりますが、サンプルシーンを用意し、体験版を使って検証するとよいでしょう。

CG制作では望むような結果を得るために、繰り返しレンダリングを行うことが少なくありません。そのような制作過程を考えると、完成イメージに近い画像が確認できるリアルタイムプレビュー機能の有無や性能も重要です。

利用者が増えつつあるGPUレンダラーは、CGソフト内のジオメトリ(3次元形状のデータ)を計算前にGPUのメモリに転送する必要がありますが、この処理速度はレンダラーや統合プラグインによっても異なります。

このあたりは実際に使ってみなければわからないことも多いため、体験版を使って試してみるとよいでしょう。

CPU、またはGPUのみに対応か、両方に対応しているか

従来のレンダラーはCPUを使って計算していましたが、最近はGPUを利用するレンダラーが増えています。

レンダラーは、CPU・GPU両対応、またはいずれかにだけ対応するものがありますが、GPUのみという場合は、環境によっては利用できない場合があるので注意が必要です。

ほとんどのGPUレンダラーはNvidiaのGPUにのみ対応していますが、最新のMacにはAMDのGPUが搭載されており、ほとんどのGPUレンダラーが使えません。

WindowsやLinuxでCGソフトを使っている場合でも、AMDのGPUを利用している場合はGPUレンダラーが利用できない可能性があります。

永久ライセンスの提供はあるのか

サブスクリプション提供のみのレンダラーは、利用を続けるために費用を支払い続ける必要があります。

永久ライセンスと比べると維持コストに差が出てくるため、注意しましょう。

ネットワークレンダリングは必要かどうか

大規模シーンをレンダリングする場合、複数台のマシンでネットワークレンダリングを行うことが一般的です。レンダリング用のマシンには、別途ライセンス(レンダーノード)が必要で、その分の費用も考えなくてはいけません。

例えばレンダーノードの価格はV-RayよりMaxwell Renderの方が安価ですが、バイアス・レンダラーであるV-Rayがレンダリング時間を短くするための設定が得意であるのに対して、アンバイアス・レンダラーのMaxwell Renderは、そのような調整があまりできません。

時間もコストなので、単純に購入価格だけで考えない方がよいですね。

MEMO

標準レンダラーのレンダーノードは、無制限の場合があります。例えば、Cinema 4Dではネットワークレンダリング(Team Render)のクライアント数は、最上位のStudioでは無制限です。一方、他のバージョンでは数量制限があったり、ネットワークレンダリングができない場合があります。

MEMO

月単位で利用可能なレンダラーもあるため、必要なときだけライセンス数を増やすことでコストを抑えるという方法もあります。

学習のための情報が充実しているか

会社では好き嫌いをいえませんが、フリーランスで利用するソフトを自身で決められる場合(データではなく、画像や動画などの完成品を納品する場合など)や、趣味で利用している場合は、学習のための情報があるかどうかも確認しましょう。

様々な条件を満たしていたものの、情報が少なく、うまく使いこなせないということであれば宝の持ち腐れになりかねませんからね。

レンダラーは様々な条件を考慮して選択しましょう

ワンコ先生

こうして考えてみるとレンダラーは機能や導入・維持・拡張時の費用なども大切であることがわかるのう。
趣味だからといって不用意な選び方をすると、自分の環境ではまったく使えないなんてこともありそうですね。注意せねば…

菊千代

ワンコ先生

そうじゃのう。用途は人それぞれじゃから、自分にとって最適なものを見極めるのが重要といえるじゃろうな。

レンダラー選びはCGソフト選びとは異なる部分があるため、時間が許す限り、体験版をきちんと使ったうえで検討することをお勧めします。

また興味のあるレンダラーの評判を確認したり、実際にレンダラーを利用している人達に使用感を聞いたりすると有益な情報が得られるでしょう。