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商品撮影(物撮り)の基本を初心者にもやさしく教えてくれる「あかるい物撮り(ぶつどり)」を紹介します。
「あかるい物撮り」で学べること
ワンコ先生
菊千代
ワンコ先生
CGでは何もない空間に、物や照明、カメラなどを配置して静止画や動画を作ります。
特にフォトリアルCGの場合、現実世界と同様にカメラや照明などを配置・設定することで、写実性の高い絵作りが可能です。
本書では、32種類の撮影例を紹介。すべての事例で撮影意図、機材(カメラや照明、背景紙など)、機材の設置方法(設置場所)などがイラストとともに説明されていて、初心者でも再現しやすい内容になっています。
- はじめに
- いろんな物撮り
- きほんの物撮り
- 「よい物撮り」のための4つのきほん
- まず揃えたい、物撮りのための「道具」
- 写真の主題を決める「ピント」
- 「ボケ」で被写体と背景の関係性を決定する
- 「光の向き」は6方向をきほんに考える
- 「光の性質」を使い分ける
- 「レフ板」で“都合のよい光”を演出する
- 「レンズ」で変わる被写体の印象
- 被写体の表情を切り取る「構図」
- あかるい物撮り
- 01 文房具のコンポジション
- 02 自然光で草花の表情を引き出す
- 03 フラットであかるいフルーツ
- 04 窓辺にケーキのある風景
- 05 フワフワとただよう湯気
- 06 おいしそうなカレー
- 07 子ども服のレイアウト
- 08 風にゆれるワンピース
- 09 動物ブローチとジオラマの風景
- 10 キラキラフィルターのパフェ
- 11 鏡面の美しいジュエリー
- 12 ガラス瓶に映り込む色彩
- 13 自然物と人工物のコントラスト
- 14 青空に連なる洗濯物
- 15 夜景のネオンの軌跡
- 16 残像のスピード感
- 17 トリックで遊ぶ だまし絵チェス
- 18 トリックで遊ぶ 重力に逆らう
- 19 トリックで遊ぶ 鏡の反射
- 20 弾けるミルククラウン
- 21 水の彫刻 水しぶきの演出
- 22 水の彫刻 乾杯の瞬間
- 23 波紋に浮かぶボート
- 24 雨の水玉レイヤー
- 25 発光する背景のライン
- 26 バザーのバッグを高級品に見せる
- 27 懐中電灯で光を操る
- 28 身近な素材を雪に見立てる
- 29 スモークで迫力を出す
- 30 光のマジック ストロボの彩色
- 31 光のマジック 暗闇に浮かぶエッジ
- 32 光のマジック 鮮やかなシルエット
- おわりに
ボケ、光の向きや性質、レフ板やレンズなどの基本についても、イラストや写真を交えてわかりやすく解説されているのも嬉しいところです。
商品撮影の現場では、被写体に合わせて光を使い分けます。被写体に強い光を直接あてる場合もあれば、光を傘にバウンスさせたり、被写体と照明の間にトレーシングペーパーをはさむ場合もありますが、当然ながら、なんとなくそのような設定を行っているわけではありません。
以下は本書からの引用です。
夏の太陽光のような「直射光」。強い光でコントラストを強調できます。ただし被写体が硬く見えてしまうので、柔らかい被写体には不向きです。黒くはっきりとした直線的な影が現れるのも特徴です。
このような光の性質についても、写真を交えて説明されています。こういった基礎知識があれば、CGで表現を行うときに、より早く、的確に望む結果が得られるようになるでしょう。
物撮りの設定をCGで再現した事例
CGソフトで特別な設定を行わずにレンダリングすると、次のような画像ができます。いかにもCGっぽい画像ですね。
現実の商品撮影では、被写体がよりよく見えるように背景紙を設置し、適切な照明や反射素材などを置いて撮影することが基本。CGで再現すると次のような設定になります。
この設定で、最初のカメラ位置で被写体をレンダリングした結果がこちらです。
被写体のマテリアル設定やレンダリング設定などは変えていません。背景や照明などを適切に設定することで、どれだけ絵が変わってくるかがわかりますね。
菊千代
ワンコ先生
商品撮影では、被写体の魅力を引き出すために様々な工夫をします。例えば、カレーライスを食欲がわいてくるような魅力あるものに見せるためには、どのような照明にすればよいかということも本書では触れられていますが、そのような微調整はHDRIでは困難です。
以前、「風化した・使い込まれた”時”を感じるリアリティの追求」というテーマでC3D勉強会を開催したときにも、mojonさんから、リアルな絵作りをするために必ずしもHDRIがよいわけではないという考察が披露されています。興味がある方は過去記事をご覧ください。
「あかるい物撮り」の総合評価
CGで説得力のある絵作りを行うためには、現実世界のカメラや照明、撮影技法などの知識が重要です。「あかるい物撮り」は、特に商品撮影におけるカメラや照明の基本を学びたい人にお勧めの一冊です。
本書に書かれている内容をCGで再現したり、デジタル一眼を持っているなら実際に撮影を行ってみたりすると理解度が深まるかもしれません。