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Appleの新製品 Vision Pro ですが、2024年2月2日発売(米国時間)ということが発表されました。価格は 3499ドル(約51万8000円)からということで中々なお値段ではありますが、決して高すぎとは言えないかもしれません。
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Vision ProをMacのモニターとして使えることのメリット
先頃、AppleからVision Proのガイドツアーが公開されました。この中でMacのモニターとしてVision Proを使うシーンがあります(表示されているのはCinema 4D!)。MacBook Proを開き、簡単な接続操作によってMacの画面が消え、空間上に画面が映し出されていました。
これまでのVRヘッドセットでも同じようなことはでき、実際に体験したこともあります。しかし通常のモニター代わりになると感じたことはありません。あくまでも画面を写せるだけで、品質的にモニターの代わりにしたいと思えなかったのです。しかしVision Proの評価をしているレビュワーは、一様にその品質を絶賛しており、本当に現実空間に画面が浮いているかのように感じられそう。
デスクはできるだけすっきりさせておきたいため、すべてのモニターをモニターアームで浮かせていますが、仮想空間に現実と同じレベルの高品質な画面が表示できるのならもはや物理モニターはいらないのではと思えます。現在、EIZOのFlexScanとColor Edge、計2台のモニターを使っており、すべてにモニターアームを取り付けていますが、合計金額は約25万円。Apple Studio Displayなら、27インチ5Kの解像度で約22万円。
モニターアームで自由にモニターを動かして机を広く使おうVision Proなら空間に複数の画面を表示でき、サイズも自由に調節できそうなので、MacとVision Proがあれば、大画面のマルチモニター環境をどこででも再現できそうです。モニター代わりにヘッドセットを使う制作環境は想像したことはあっても、実用レベルで使えるかもと思ったのはVision Proが初めて。大きなモニターを何台も机の上に並べる必要がないなら、この上ないメリットと感じます。
大画面と空間オーディオがもたらす迫力の映像体験
もう一つ注目しているのが、映像の視聴。ガイドツアーの中では、モナーク(Apple TV向けのゴジラ)をデモで流していますが、画面の大きさを自由に拡大しています。最近は家庭用の液晶テレビも安くなっていて、Amazonでは60インチでも10万円以下で買えます。
しかし大画面テレビの課題はその存在感。親戚の家に60インチのテレビがありますが、大きいというレベルを超えて巨大。また個人的には映画を見るときは大画面がよいけど、ニュースやバラエティ番組は小さめの画面の方がよいです。となるとプロジェクターになるのかなと思いますが、手軽さにかけるし、小さく、性能のよいものは5万円以上とかになります。
映像を視聴するときは画面のサイズや色だけでなく、音も重要。こだわるなら別途スピーカーやヘッドホンを用意することになります。Vision Proは空間オーディオに対応。迫力のあるサウンドと大画面が揃うと、映画の魅力は大きく増します。ゴジラのような巨大生物が登場する映画などは、さぞ臨場感があることでしょう。自作の映像を見るのも楽しそうです。
Vision Pro 1台で制作時はマルチモニターになり、映画を視聴するときはホームシアター代わりになるのもミニマルで嬉しいところ。
CG・映像制作のツールとしてはWindowsが使えないと厳しい
CGゃ映像制作の標準環境はWindowsです。Vision Proがいかに素晴らしいツールであっても、Macとしか連携しないようだとCG・映像制作のツールとしては広がりは限定されそう。Appleが販売しているディスプレイは、いずれもMac専用となっており(Windowsでも使えないことはないようですが)、Vision Proのデモを見ても、Macと同様のアイコンが空間に並んでいます。
Vision OSという専用OSではあるものの、Apple製品との連携が主眼に置かれているのは明らか。Mac、Windows、どちらのOSでもよいという人達はVision Proが呼び水になってMacを選ぶかもしれないし、Appleも当然ながらそのような効果を狙っていることでしょう。
Safariでリモートデスクトップが使えれば、Windows環境をVision Proで見ることはできそうではありますが、ちょっと変則的なので使い勝手は悪くなりますね。ただVision Proを一気に世に広めて、iPhoneのように新たな分野で不動のポジションを得ようとするなら、Windowsとは何らかの形で連携させるかもしれません。
Vision Proが生み出す新たな体験に期待が高まる
Vision Proは、パソコン用のモニターやホームシアターなど、既存の何かに置き換わるだけではなく、新たな体験も生み出してくれそうです。ガイドツアーの中では、映像の蝶が指にとまるシーンがあります。こんなインタラクティブな体験も可能になるなら、中に入り込んで楽しめる映画も出てくるかもしれません。そういったものを自分自身でも作れるようになるかも。また現時点では全く想像できていない新たな体験ができるようになるかもしれません。
蝶の後で巨大な恐竜を見上げるシーンがありますが、これまでのVRヘッドセットとは一線を画すものがありそうで、本当に目の前に恐竜がいるように感じられるのではないでしょうか。
次の写真は過去にC3Dで行われた複数人によるVRモデリングの模様。同じモデルを2人で同時にモデリングしている様子がスクリーンに映し出されています。写真ではコントローラが使われていますがVision Proはジェスチャー操作が基本となっているので、手には何も持たず、より直感的に仮想空間でのモデリングができたりするかもしれません。
Vision Proの不安材料は重さと蒸れ
とまあ期待値が非常に高いVision Proですが、体験したレビュワーが伝えていた課題が「重さ」です。スペックを見ると600〜650gとあります。iPhone 15 Pro Max が221gなので、その約3倍弱の重さを装着することになります。どれだけ没入感があったとしても、長時間の利用では重さを感じて現実に引き戻されてしまいそう。
重さに関してはAppleも課題として捉えているようで、補助バンドが標準で付属しています。支えやすくはなりそうですが、Vision Proの重さは変わらないので首やその周りの筋肉にどれぐらいの負荷がかかるのか気になりますね。
他にはVRヘッドセット全般に共通する蒸れの問題。映画なら2時間程度、外部モニターとしてであればさらに長時間装着し続けることになるので、当然気になります。この点に関してはレビュワー達の声が聞こえてきません。ヘッドセットなので多少の蒸れは当然と考えているのか、もしくはうまく対策されていて不快感がそれほどないのか。どうなんでしょ。
パソコン、モニター、ヘッドホンを兼ね備えるVision Proは高すぎるとはいえない
Vision Proは、M2チップと新たなR1チップを搭載し、高性能なカメラやセンサー、モニターを備え、ストレージは256GB〜1TBというラインナップ。Vision Pro単体でパソコンのように利用でき、Macの外部モニターとしても利用可能。エンタメ端末としても優秀で、大画面テレビやプロジェクター、スピーカーやヘッドホンなどの代わりにもなります。
過去にNOSIGNERが、イベントでiPhoneに融合した100以上のものを実際に並べて展示していました。そこには電話、地図、ノート、記録メディア、カメラ、ゲーム、タイプライター、パソコンなど、様々なプロダクトが並びます。これだけのものを手のひらサイズのiPhone1台で賄えていることを端的に示しており、視覚的なわかりやすさもあって改めて驚きを感じるわけですが、Vision Proもまさにこれと同じことがいえそう。そう考えると、50万円という価格も決して高すぎるとは言えません。
iPhoneに融合した100以上のものを展示しています。人がどう身体を拡張したいのか、その片鱗が見えてきます。 #iPhone #infographic #gadget #design https://t.co/f6XT9Mm5wU pic.twitter.com/DLOc7vBIU3
— NOSIGNER (@NOSIGNER) September 19, 2016
と、期待や夢は膨らみますが、兎にも角にもまずはVision Proを実際に体験したいです。そのうえで購入するかどうかを判断したいところ。まあ簡単に手が届く価格ではありませんけどね。今回は新たな分野での最初の製品ということで、世界最高水準の技術を惜しまず注ぎ込んだ感じがありますが、ユーザーのフィードバックを受けたり、さらなる技術の進歩によって、必要のないものは削ぎ落とされ、より軽量化、低価格化が進むことが期待されます。
iPhoneのときと同じく、第2世代、第3世代と進化していけば、Vision Proのハードもコンテンツも、より洗練されていくことでしょう。それを待つのが賢いのでしょうけど、Apple信者的には待つ自信がないかな… ちなみにApple Watchは8まで耐え忍んだので最初から非常に快適でした。
あとは円安ですよね。2024年は円高になるという話もありますし、Vision Proがアメリカ以外の国に展開されるのが今年の後半らしいので、その頃の実売価格が40万円ぐらいになっていたら手が届くかも。期待。