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Appleが新製品発表イベントでM1 Max/Ultraチップ搭載のMac Studioを発表。現時点でM1 Macシリーズの最高峰となるMac StudioはCG用マシンとして買いなのかどうかを考えてみました。
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エントリーなのにCGソフトがサクサク動くM1 MacBook Airの衝撃
M1チップ搭載Macが登場したときは、桁違いの高性能ぶりに大きな話題になったことは記憶に新しいところ。実はM1 Mac登場の前年、7年ぶりにMacBook Airを買い替えていたんですが、M1 Macの性能に衝撃を受けて1年でIntel MacBook Airを手放し、M1モデルに乗り換えました。
Intel MacBook AirではCGソフトをまともに動かすことは難しかったんですが、M1 MacBook Airでは快適に動作し、条件によってはWindowsデスクトップ並みのレンダリング速度も出るなど、噂通りの高性能。
購入したばかりのMacを1年で手放すのはとても残念でしたが、リセールバリューの高いMacとはいえ、M1によってIntel Macの価値が暴落すると考えたんですよね。実際にその後、中古市場でのIntel Macの価格は…
そもそもM1ってなに?とか、M1 MacBook Airがどれほどすごいのか詳しく知りたいという方は、過去記事をご覧ください。
上記の記事はM1 Macが出たばかりの頃のもので、CGソフトを使うときにGPU対応が懸案と書いていますが、メインで使っているCinema 4DやRedshiftは対応が早く、いまでは問題なく利用できています。
ちなみにM1 MacBook Airを使い始めて1年ちょっと経ちますが、最近はよく落ちるようになりました。色々なソフトをインストールして使っていて、ゴミファイルが溜まっていると思うので、クリーンインストールすれば復活しそうな気もします。
M1 Max搭載MacBook ProはCGのメイン機としては物足りない
M1 Macが衝撃のデビューを果たした約1年後、より高性能なM1 Pro/Maxを搭載したMacBook Proが登場。エントリー向けのM1からスペックが大きく進化しました。M1とM1 Maxのフルスペック比較は次のとおり。GPUコアやメモリは4倍になっています。
M1 | M1 Max | |
CPU 高性能コア | 4コア | 8コア |
CPU高効率コア | 4コア | 2コア |
GPUコア | 8コア | 32コア |
Neural Engine | 16コア | 16コア |
メモリ | 16GB | 64GB |
メモリ64GBは、CG用としてはそれほど多くないと思われるかもしれませんが、Apple Siliconは従来のパソコンとは設計が異なるため、メモリ容量の数字を単純比較できません。私が使っているM1 MacBook Airはメモリ16GBですが、メモリ64GBのWindowsデスクトップと比べても遜色ないほど快適に動きます。また過去に使っていたメモリ24GBのIntel iMac と比べても同等かそれ以上の軽快さ。もちろん動作の軽さはメモリ以外の部分の性能差も大きいです。
M1 Macの「メモリ64GB」は、Intelパソコンの何倍もの体感性能がありますし、それはCPUやGPUに関しても同様。M1 MaxのGPUスペックは(結果はベンチマークの種類によっても異なりますが)、RTX 2080並みといわれています。
ラップトップとしては非常に優秀ですが、フルスペック(ディスクは1TBを選択)にすると14インチモデルなら43万円以上、16インチモデルなら46万円以上。ラップトップとは単純に比べられませんが、WindowsデスクトップならRTX30系のGPUを搭載したBTOパソコンが30万円台で組めることを考えると「CGで使うなら、メイン機としては物足りず、サブ機としては割高」といえそう。ただラップトップであることを考えると、このスペックと価格は魅力的です。特に現場作業のような用途では大いに役立つでしょう。
M1 Ultra搭載のMac StudioはCG制作のメイン機になりうる
新たに登場したMac Studioは、M1 Max/Ultraを搭載。M1 UltraはM1 Maxを2枚つなげて1つにしたもので、コア数やメモリはすべてM1 Maxの2倍になっています。M1 MaxとM1 Ultraのフルスペック比較は次のとおり。
M1 Max | M1 Ultra | |
CPU 高性能コア | 8コア | 16コア |
CPU高効率コア | 2コア | 4コア |
GPUコア | 32コア | 64コア |
Neural Engine | 16コア | 32コア |
メモリ | 64GB | 128GB |
Mac Studioのフルスペック価格(ディスクは1TBを選択)は、約70万円。Geekbench 5のベンチマークスコアでは、CPUのマルチコア性能は、Ryzen Threadripper 3990Xに迫るとのこと。engadget Japanの記事によると、GPUのピーク性能はRTX3090を上回るそうです。
速報:最高速アップルシリコンM1 Ultra発表、内部でM1 Max 2個を接続し2倍性能 – Engadget 日本版
記事公開時点でThreadripper 3990Xが品薄のようでBTO価格を確認できませんでしたが、BTOパソコンのサイコムでThreadripper 3970X + RTX3090、メモリ128GBのBTO価格を確認したところ、税込94万円を超えました(Threadripper 3990Xなら、さらに価格が上がると思います)。ちなみに水冷が標準になっていたのでその分の金額が含まれますが、このようなハイエンド構成は発熱量も高いため、十分に性能を発揮するために水冷は必須かもしれません。
巨大で消費電力も大きいWindowsデスクトップに対して、Mac Studioは幅・奥行とも19.7cm、高さ9.5cmと小さく、机の上でも邪魔になりません。さらに消費電力も低いという大きなメリットもあります。そう考えると、70万円という価格は非常にコストパフォーマンスが高いといえそうです。
また長年に渡って背面にしか接続ポートが搭載されていなかったMacのデスクトップモデルですが、Mac Studioは正面にUSB-C(Thunderbolt 4)ポートx2、そしてSDカードスロットを搭載。利便性も向上しますね。
M1 Mac ProはMac Studioとどのように差別化するのか
Mac Studioがあまりにも高性能だったので、もうMac Proはこのままディスコンになったりするのかな?と思ったりしましたが、イベントでは次期Mac Proの予告があったことを知りました。
昨晩こんな話出てたのね。知らなんだ。年内には発表あるかな?
— いわい|ダンボールアーティスト (@Iwai) March 9, 2022
Apple、次期Mac Proを予告 https://t.co/rqw92JES4n
Apple Siliconは、CPU、GPU、メモリなどをすべて1つのチップにまとめることで従来では考えられなかった高性能を発揮。一方、現行Mac Proは、メモリ、GPU、ディスクなどを後から増強できる拡張性が売りとなっており、Apple Siliconの設計思想とは相容れません。
Mac ProにはM1 Ultra 2枚を組み合わせたものが搭載されるという噂もありますが、単純にM1 Ultraの倍のスペックなら次のようになります。
- 40コアCPU(32の高性能コアと8つの高効率コア)
- 128コアGPU
- 64コアNeural Engine
- 256GBメモリ
現行のIntel Mac Proのモンスタースペックを考えると、Appleとしては自社のフラッグシップモデルをこれぐらいのぶっちぎりの性能にしたいというのはあるかもしれません。このような性能になったらインパクトはもちろん大きいのですが、いまのMac Proが発表されたときにはクリエイターが欲していた拡張性を考えたというお話をしていたので、次期Mac Proではその点がどうなるのかは興味深いです。
Mac StudioはCG用として最適だけど次期Mac Proが気になる
Mac StudioがWindowsデスクトップのハイエンド並みに高性能であることはわかりました。スペックを考えるとコスパもよく、CG制作環境としては最適。あ、ちなみにCGするならMacかWindowsかというお話は過去記事に書いているのでご参考まで。今回はWindowsとは比べず、Macにおける最適なCG環境についてだけ考えております。
次に購入するMacはデスクトップと決めていたので、2021年に登場したM1 Pro/Max搭載 MacBook Proはスルーしました。デスクトップの場合、M1 Mac miniは物足りないけど、Intel Mac Proは私には高額すぎるし、オーバースペックなので、その間を埋めるものが欲しいと考えていたところにMac Studioが登場。
ということでMac Studio購入については考えていますが、次期Mac Proがどうなるのかは非常に気になるところ。Mac Studioの価格帯が25万〜90万ぐらいなので、確実にそれより高額になるであろうMac Proは価格的に購入できるかどうかは微妙。
Mac StudioとMac Proの差別化ポイントがスペックだけなら、Mac Proは自分にとってはオーバースペックになるだろうし、小さく、高性能なMac Studioを選ぶことになりそう。でももしもM1 Mac ProがApple Siliconなのに拡張性があり、導入後にスペックアップできたりするなら、かなり惹かれます。
Mac Studioは自分にとっては申し分のないスペックで(オーバースペック気味ぐらい)、サイズも小さく最高ですが、もう少し考えてみようと思います。
余談:Mac Studioと相性抜群のStudio Displayも気になる
Mac Studioと同時に発表されたStudio Displayは、27インチ5Kで1,200万画素の超広角カメラや空間オーディオに対応した6つのスピーカーに加え、ディスプレイでありながらiPhone11やiPhone SE(第二世代)と同じA13 Bionicチップを搭載。MacRumorsがAppleに確認したところ、幾つかの機能は無効になるもののWindowsでも使えるそうです。
Apple Confirms Studio Display Will Work With PCs, But With Some Caveats | MacRumors
HomePod mini 2台をペアリングしてステレオスピーカーにしていますが、Studio Displayのスピーカーはさらに高性能な感じだし、外付けスピーカーを無くせばデスクもすっきり。外付けウェブカメラも不要。Windowsでも使えるので言うことなし。
Mac Proと同時に発表されたPro Display XDRは60万円近くするので、さすがに無理という感じでしたが、Studio Displayは約20万円と頑張れば買えないことはない価格。60万のあとで20万を見るとお手頃価格に感じてしまうという(笑)なんか大きなお仕事が入ったらStudio Displayも欲しい!