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2015年8月30日、「リニアワークフロー」をテーマに勉強会を開催しました。
リニアワークフローの話題ではかなり専門的な話になってしまいましたが、今回も色々な話題があって楽しい勉強会となりました。
Table of Contents
午前中は最近の話題や近況報告から
午前中は最近の話題やメンバーの近況報告から開始。
fusion8提供開始
合成ソフトfusion8の提供が発表されました。前のバージョンまではWindows版のみでしたが、今回からはMacとLinuxにも対応。
かなり高機能な本格的プロ向けソフトですが、なんと無料版もあります。興味津々。
ピクサーのアニメの作り方が学べるPixar in a Box
3月にはRendermanの無料版を発表したピクサーですが、今度はカーンアカデミーという教育サイトを通じてピクサー流のアニメ作りが学べるようになりました。アニメーションを作りたい人は必見。
まあ、英語ですけどCGを本気で学びたい人は最低限の英語力は身に付けるべしです。最新の情報は常に英語で出てきますからね。
無料でピクサーアニメの作り方を本格的に学べる「Pixar in a Box」
Googleが買収したZync Renderがついにベータ提供開始
ちょうど一年ほど前にGoogleが買収して話題になったクラウドレンダリングのZync Renderですが、ようやくベータ提供が開始されました。ただ、対応しているソフトなどはかなり限定的で完全にプロ向けな感じです。
C3Dや私の知り合いの間ではRebus Farmの評価が高いです。割と安価に使えて空いてさえいればレンダリングは超高速だし、対応も良いそうです。
Rebusレンダーファームサービス – ホーム
糸数さんのオンラインCGセミナー
ディズニーで数々の大作に関わってきた糸数さんのオンラインセミナー。入門コースは無料で受講できます。
興味のある方は是非。
糸数弘樹のCG 教室 – CGオンライン アカデミー
Jayse Hansen
勉強会前日に東京で開催されたイベントで登壇されたJayse Hansenさん。
Jayseさんは、アイアンマンなどSF映画の未来っぽいインターフェイスを専門的に作られている方です。
使用ソフトは、After Effectsです。どんな分野にも専門家っているんですね。
Jayse Hansen Portfolio | Home | Jayse Hansen Portfolio | | UI Design for Film
勉強会参加者の近況報告
勉強会参加者の近況報告、まずはいわいから。
日本テレビの人気番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」のダンボールロボット対決企画に協力しました。番組は8月に放送されましたが、おもしろかったですよw
日テレ「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」のダンボール企画に協力しました
Wemake主催のコンペで最終フェーズに進んでいます。結果は9月中に出る予定。
[御礼]Wemakeのダンボール家具プロジェクトで最終フェーズに進みました!
鯖江うるしアワードには8月に応募。こちらも9月中に結論が出ます。
Zaxxの末松さんからはドラマ「初森ベマーズ」のVFX仕事のご紹介。いい仕事してる!CG Worldの雑誌とウェブサイトでも詳しく紹介されています。
VFXアナトミー:ドラマ24『初森ベマーズ』(VFX制作:Zaxx) | 連載 | CGWORLD.jp
Tさんからは長期間にわたって関わったプロジェクション・マッピングの展示がついに公開とのお話。
常設展示でのプロジェクション・マッピングはかなり稀な事例です。愛知県刈谷市にあるアイシンコムセンターにて公開中。絶対見に行く!
コムセンター – アイシン精機
午後からはリアルワークフローについてのお話
今回の勉強会のテーマとなった「リニアワークフロー」ですが、調べれば調べるほど謎が増す結果となりました。
リニアワークフローとは
コンピュータはR(red)、G(green)、B(blue)の3種類の組み合わせで色を表現しています。
しかし、モニタにはガンマという特性があり、コンピュータで設定した色をそのまま表示できません。
「RGB(0, 0, 0) = 100%の黒(明るさ0%)」「RGB(255, 255, 255) = 100%の白(明るさ100%)」なので、その中間色はRGB(128,128,128)ぐらいですが、ディスプレイで見ると暗く見えます。
ディスプレイのガンマ値は暗めになっているので、コンピュータ内で正確に中間色を設定してもその通りには表示してくれないのです。
リニアワークフローとは、コンピュータ内で指定した色をディスプレイで再現できるようにするための作業のことになります。
具体的には、次の3点が挙げられます。
- テクスチャのガンマ値を適切に設定する。(テクスチャのリニア化)
- CG ソフトで作った画像を、ディスプレイで正しく表示できるようにする。(環境のリニア化)
- リニア環境で作った画像が、別の環境でも正しく表示できるように書き出す。
次のグラフはディスプレイガンマを表しています。一般的なディスプレイはガンマ2.2でグラフで言うと赤い線のように下振れしており、本来のRGB値よりも暗めに見えます。
理想のディスプレイガンマは1.0で、そのように調整されるとRGBが正確に表示されます。
グラフのように曲線になっているディスプレイガンマを直線(リニア)にするための作業手順(ワークフロー)が「リニアワークフロー」の語源のようです。
というお話が一般的なリニアワークフローの解釈になります。
調べるほどにわからないことが出てきて謎が深まった
リニアワークフローについてはTさんが非常に詳しく調べてきてくれましたが、それによるとネット上の情報には諸説あり、間違いも多く見られるそうです。
CG業界でリニアワークフローが騒がれた原因には、まずは2005年頃のハリウッドが関係しそうということがわかりました。
それ以前はハリウッドでもコンポジター達の目視によって見た目が調整されていたようですが、複数のスタジオが関わる大規模案件などではそんな属人対応してたら品質に関わるしまずいよねってことで、環境を統一して品質を上げるためにリニアワークフローが導入されるようになったようです。
大規模では無くても映像を合成するVFXスタジオなどでは必要性は高いでしょう。
遅れること数年、2008年頃には日本でもリニアワークフローを導入すべきという流れになってきて、特にCGソフトベンダーが宣伝文句の中にリニアワークフローという言葉を入れるようになりました。
リニアワークフローは、VJやアニメーション(=モーションのみの作業)にはほとんど関係がありません。
にも関わらず、そのような分野に対してもリニアワークフローが有効であるということが一部で喧伝されたことでリニアワークフローが多くの人に誤って理解されてしまったと思われます。うーん、なんとも。
ちなみにリニアワークフローで調整するのは明るさだそうで、映像やCGを合成するときの結果に影響します。
リニアワークフローについてはインターネット上の情報を鵜呑みにすることが出来ないため、少し調べただけでは本当に正しいのかどうか断言できず、今回の情報も現時点でのC3D調べのこととして理解していただければ幸いです。
なお、日本語で書かれたリニアワークフローの情報の中で、最もわかりやすいのはコンポジゴグさんの説明です。ちょっと難しい部分もありますが、とても素晴らしい解説になっています。
分かる!リニアワークフローのコンポジット – コンポジゴク
コンポジゴグさんは映像合成に関して数々の有益な情報を提供してくれており、そちら方面に興味のある人は必見です。
唯一心配なのはコンポジゴグさんがFC2ブログだということ。FC2は創業者が最近、国際指名手配されておりその運営が危ぶまれているからです。
この素晴らしき情報が消えてしまったら涙目ですよ。いやはや。
最後は皆で飲み会!
いつもは勉強会が終わったら、そのまま解散する健全なC3D勉強会ではありますが、今回は飲み会ありでした。
芋蔵という勉強会会場近くのお店に行きましたが、料理もお酒も美味しくて大満足。
ちなみに、いわいのオススメは暖流泡盛のハイボールでその名も「暖ボール」でございます。
次回勉強会のテーマは飲みながら考えようぜ!と意気込んだものの結論は出ないままでした…ちゃんと考えます。
今回はかなり専門的なお話になりましたが、楽しい勉強会でありました。
一つだけ苦言があるのですが、今回の勉強会を無断欠席した人がいらっしゃいました。運営側にとっては非常に困ります。
こういうことを繰り返す人の参加はお断りする可能性があることを覚えておいてください。
それでは、また次回!